約 2,540,623 件
https://w.atwiki.jp/moemonss/pages/650.html
わたしはルージュラ、こおりエスパーの萌えもん 身長140cm、体重は4・・39.6kg! 趣味は踊り、夢は素敵な雄萌えもんと添い遂げること わたし達の種族には雄が居ない なので子孫を残そうと思ったら、他のひとがた萌えもんと結ばれる必要があるのだ ある日、わたしのマスターであるおじいさんが日課の釣りに行くというので着いて行くことにした なんでもニョロゾが欲しくて欲しくてたまらないらしい ニョロゾはあんまり好みじゃないのよねぇ・・・内臓透けてるし・・・ 近くの池に向かう途中、通りかかった草むらで雄のケーシィに出会ったの 同じひとがた萌えもんだし、おじいさんもケーシィも戦う意思なんてないし、ってことで おじいさんの釣りを見学しながら色々お話してたの そのうちお互いの萌えもんの話になってきて 聞けばケーシィは雄の数が多くてフリーな雌ケーシィを探すのも大変だって言うじゃない こりゃラッキー☆って思ったわよ この子ケーシィとしてはどうなのかは知らないけど わたしの好みとしては十分OK! ちょっと眠そうにしてて、ぽやぽやーとしてる感じが母性本能を擽ってきてたまらない 早速、おねぇさんっぽく誘惑してあげてら真っ赤になっちゃって、これがまたかわいいのよ! 「ねぇ・・・キス、ってしたことある?」 「えっ・・・?あの・・・その・・・・・・な、ないです・・・」 「じゃあ、おねえさんと・・・してみよっか?」 「ああああ、あの・・・はい、ど、どうぞ・・・」 「ふふっ・・・目を閉じちゃダーメ、しっかりとわたしの目を見て」 「は、はい・・・・・・って、うわああああああああああっっっっっ!!!!(ヒュンッ)」 あっと言う間もなくテレポートで逃げちゃった ここまできて逃げるって失礼だと思わない? あれから何度かおじいさんの釣りついでに探しに来てるんだけど 結局あれ以来、あの子とは出会うことはなかった はぁ・・・わたしって良縁に恵まれてないのかなぁ ---------------------------------------- 補足 あくまのキッス おそろしい かおで むりやり キスを して あいてを ねむりの じょうたいに する。
https://w.atwiki.jp/moemonss/pages/1415.html
ゴールデンボールブリッジ カスミを突破したデオキシスとそのトレーナーは、レベルアップを目指しトレーナーが多く集う場所を訪れた。 その為の場所として選んだのはハナダシティジムから少しある居場所にある、橋、通称「ゴールデンボールブリッジ」。 ハナダの名所でもあるそこには普段から複数のトレーナーが屯しているので経験値を稼ぐには丁度良いと二人は考えたからだ。 さぁ行くぞと意気込んでデオキシスとそのトレーナーが橋を渡ろうとしたその時、橋の方からトンガリ頭の友人が歩いてきた。 「よぉ、○○○!久し振りだな!」 「相変わらずそいつを連れて歩いているのか。」 「デオキシス以外は連れていない?」 「…あぁ、そう言えばお前は捕獲が苦手だったな。」 「けど手持ちが一体だけってのはトレーナーとして問題だと思うぜ。」 「手持ちが一体が増えるだけでも他の萌えもん達への負担は一気に減るからな。」 「そういうのを考えて手持ち萌えもん達を補佐するのが一端の萌えもんトレーナーってもんだろ?」 「今度、草むらにでも行って手持ちになってくれそうな奴を探してみたらどうだ?」 「…と、長話過ぎたな。俺らしくもねぇ。」 「さてと、折角出会って話をしただけじゃつまらないな。」 「たった一体で戦うお前に、俺達がどれくらい強くなったか見せてやるよ!」 「先ずはそうだな、ポッポ!君に決めた!」 トンガリ頭がデオキシスの天敵だったと記憶している萌えもんが入ったボールに手を掛けて決めポーズと共にボールを戦闘の場へと投げる。 しかし次の瞬間にはトンガリ頭の手持ち萌えもんは全てデオキシスによって倒されたのでトレーナーは勝利を収めた。 「!なっ。何が起きた!?『勝負を始めたと思った』のに何で『全て倒されている』!?」 「今、勝負と言う過程を吹き飛ばし勝利と言う結果を残した…これが私の真の能力…その名も、キングッ」 「単にサイコキネシス連打で無双出来て面白く無かったから勝負描写をカットしただけなんだけどな。」 「ちょっと待て、戦闘カットは酷くないか。俺、一応ライバルだぜ?こう、もっと、読者も見ていて燃え上がるような戦いをだな。」 「カスミ戦の方が、と言うよりは、カスミのスターミーは普通に戦っても強いから印象に残り易いんだよ。今のライバルはちょっと。」 「ちょっと…何だよ。その先を言えよ!」 「ついでに賞金も貰っておいたから。」 トンガリ頭は財布を確認しデオキシスの言う通り所持金が減っている事に気付いた。僅かな間少なくなった財布と見つめ合った後、いそいそと財布と荷物を片付け、 「この先には預かりシステムを開発したマサキって奴が住んでるぜ!」 「お前も預かりシステムの世話になるつもりがあるのなら、挨拶をしに行ったらどうだ?」 「じゃあな、アデュー!」 等と捨て台詞を吐いてからトンガリ頭を風に揺らしつつも二人の横を通り過ぎそのまま歩き去る。 段々と小さくなっていく友人の背中を見ながらもトレーナーは一言呟く。 「…、どっちかというと、時間飛ばしはあの人が使った方がしっくりくるな。」 「あの人の名前は『クリム』ゾンだからね。」 クチバシティジム 港町として盛んな街、クチバシティ。 この街のジムリーダーは電気タイプ萌えもんを専門とする通称『イナズマアメリカン』マチス。 マチスのジムにはある特殊な仕掛けが施されていて挑戦者であるトレーナーは仕掛けを突破し始めてマチスに挑む事が出来る。 突破しなければならない仕掛けとは端的に言えばゴミ箱漁りである。こうして書くと一種の嫌がらせのように聞こえる。実際に嫌がらせなのかもしれないが。 ジムトレーナー曰く「用心深い」マチスは自分の部屋を施錠している。そして施錠を解除させる二つのスイッチがゴミ箱の中に在る。 トレーナーはゴミ箱の中からスイッチを探し出すことが出来ればマチスが待つ部屋に入る事が出来る、ということである。 三十箱ものゴミ箱の中から二つのスイッチを探し出すこの嫌がらせに苦戦するトレーナーは多い。また一人、そうして仕掛けにデオキシスを連れたトレーナーも苦戦していた。 デオキシスは苦々しい表情と共にゴミ箱の中に手を突っ込んで掻きまわすが、目的のスイッチが無かった事に落胆し愚痴を垂らした。 「ジムトレーナー。本当にゴミ箱の中にスイッチが入っているのだろうな。」 「ジムトレーナー全員がそう言ってるし確かなんだろ。ほら、次のゴミ箱を探るぞ。」 「マスターはどうなんだ?スイッチは見つかったか?」 「いや、全く。」 「もう二十五箱は探っているのにな…何でスイッチ一つ見つからないんだ。運が悪過ぎるだろう。」 「あぁ、それ多分、俺の所為。」 「俺の所為?どういう事だ?」 訳が分からない、とも言いたげなデオキシスに、トレーナーは言葉を選ぶ為に少しの間をおいた後で、その訳を説明し始めた。 「俺は運が悪いんだ。」 「運が悪い?余計に訳が判らないよ。」 「そのままの意味なんだけどな。例えばほら、俺は捕獲が苦手だろ?」 「そんな設定があったね。」 「俺が捕獲が苦手なのは運が悪いからなんだよ。弱らせて、ボールを当てても、結局最後にものを言うのは運だから。」 「なるほど、わからん。」 こうは言いながらもデオキシスはトレーナーの言おうとしている事は何となく理解できていた。 今までトレーナーはどんな萌えもんも捕まえる事が出来なかった。ちゃんと弱らせた上でモンスターボールをにぶつけてもだ。 それがたった一度なら『運が悪い』で済むかもしれない。しかしトレーナーの場合、それが何度も何度もあった。デオキシスはそれを見てきた。 確実に捕まえるマスターボールを除けば、例えどのような技術を用いても捕獲に絶対は無い。結局最後に必要なのは運だ。 致命的ではないにしろトレーナーにはそれが欠けていた。例えどんな好条件の下であってもトレーナーは萌えもんを捕まえる事が出来ないのである。 「それは単に運が悪いからで、この運の悪さが、ジムのスイッチ探しにも影響を与えているのではないかと。」 「何と言うかもう能力みたいなものなんだね…もしかして右手が幻想殺しだったりする?」 「いや、それは無い。まぁ、運が悪いと言っても不幸ってわけじゃないからな。」 「? 運が悪いと不幸になるものではないのか?」 「今の俺はそこそこ幸せだよ。嫌いじゃない奴と一緒に旅が出来るのだから。」 「嫌いじゃない奴?私の事か?…、嫌いじゃない、か。ふふ。」 デオキシスは再びゴミ箱の中を漁る。しかしスイッチは見つからない。 運が悪いトレーナーの手持ち萌えもんになると苦労するものだと、デオキシスは楽しげに呟いた。 「ジム戦より仕掛けを解除する方が手間取った気がするのだが、気の所為だろうか?」 「気の所為じゃないと思うぞ。ジム戦はサイコキネシスで無双出来たし。マチスよりゴミ箱の方が強敵だった。」 萌えもんタワー 運が悪いトレーナーと朱色と青緑の少女デオキシスは無事イワヤマトンネルを潜り抜け、シオンタウンの萌えもんタワーに来ていた。 萌えもんタワーとは多くの萌えもんの墓が集められ建てられた塔であり、毎日のようにかつて寵愛した萌えもんの墓参りに来る人々が訪れる場所である。 墓場という環境の所為かこの場所には未だ謎多き身体構造を持つゴーストタイプ萌えもんが出現する。 不謹慎ながら、墓参りではなくゴースト萌えもんを目当てに萌えもんタワーを訪れる萌えもんトレーナーも少なくはない。 野生の萌えもんを捕まえる事が出来ないトレーナーの目的は墓参りであった。 近くにあるタマムシシティのデパートで買った色取り取りの花を二階にあった小さな墓の前に供え、黙祷する。 研究所で暮らしていたデオキシスは研究所の近くに住んでいたトレーナーとの付き合いこそ長いが全てを知っているわけではない。 トレーナーが誰に祈りを捧げているのか分からず居心地が悪そうに周囲に気を配りながらもトレーナーを眺めていた。 やがて黙祷を終えて墓前から離れたトレーナーは、私用で待たせてしまったデオキシスに対し申し訳なさそうに話し掛ける。 「悪かったな。俺の私事で時間を使ってしまって。」 「誰の墓なんだ?君の以前まで手持ちだった萌えもんのものか?それとも御両親の?」 「いや、俺の妹の墓だよ。」 「君は人間だろ?妹が萌えもんというのはおかしくないか?」 「義理の、が付くんだけどな。俺にはズバットの妹が居たんだよ。」 「初めて聞いたな。」 「言ってなかったからな。」 「…彼女の死因は何だったんだ?」 「交通事故。母さんとの買い物帰りに大型トラックがぶつかったんだ。」 そう言えば、あいつが一番最初の手持ちだった。 トレーナーの台詞に過去を懐かしむかのような様子は無く、感情の篭っていない声音で淡々と語る。 「そう言えば俺が萌えもんを捕まえられなくなったのはあいつが死んでからだったな。」 「妹が君を呪っていると?」 「そうかもしそうじゃないかもしれない。いつも俺にくっついてたから今でも俺に憑いているのかも。」 「悪趣味な洒落だよ、それ。」 「そうか。悪かったな。しかし、こう身内が死を目の当たりにすると、悲しいと思うより死ぬとか生きるとかについて考えさせられるよ。」 「具体的には?」 「人はどうして生きるのかとか、人は死ぬとどうなるのか。人はなぜ出会うのかとか。」 「答えは出たのか?」 「いや。今でも分からん。」 「そんなものだろうな。」 「そんなもんだろう。」 それからは二人とも、萌えもんセンターの宿泊部屋に着くまで、一言も言葉を発する事は無かった。 「さっきはすまなかった。言い辛い事を聞いてしまって。」 「今度の墓参りにはお前も付き合ってくれ。一人が二人に増えれば、あいつも喜ぶだろうから。」
https://w.atwiki.jp/moemonss/pages/1390.html
アキラがトキワジムに腰を落ち着けて約半月。 クリム主導の鍛錬(当然、マスターも鍛える)に慣れてきた頃、アキラ宛に一通のメールが届いた。 『Trust and distrust』 「マサキから呼び出しだって?」 朝練を終え、少し遅めの朝食を摂りながらクリムは聞く。 アキラはというと、半分死にかけの状態でそれに答えた。 「あぁ……なんか、近いうちにノッサとユキメさんとスイクン連れて来てくれって……何の用だろう」 「あー、んじゃアレだな。この辺じゃ珍しい萌えもんのデータが欲しいんだろ」 「萌えもんのデータ?」 意味がわからず、首を捻るアキラ。 その様子に苦笑しながら、クリムは話を続ける。 「お前、マサキについてどのくらい知ってるんだ?」 「あー……直接の面識は無いし、パソコンでの萌えもん預かりシステムの開発者ってくらいか」 「ま、一般人の認識としちゃそんなもんか」 「?」 「いやな、マサキは萌えもんマニアなんだよ。預かりシステム作ったのも、色々な萌えもんのデータが欲しいからって話があるくらいだ」 「データねぇ……」 アキラは怪訝な表情をしながらコーヒーをすする。 「……変なことに使うんじゃないだろうな」 「その辺は大丈夫だろ。俺はあいつと会ったことあるけど、悪いやつじゃなかったぜ」 「まぁ、クリムがそう言うならそうなんだろうけどな」 「お、んじゃ行くのか?」 「そうだな……相変わらず放蕩してるスイクンが見つかり次第行くか」 そう言って食事を終えたアキラが立ち上がった時。 突然彼の背後から、底抜けに明るい声が響いた。 「あっるじっ様ーっ!呼んだ?」 「ってうぉあ!スイクン!?」 「……前にも思ったが、ホント一口に伝説っつっても色んな性格の奴が居るんだな」 「むむむっ、失礼な。あたしこれでも伝説よ?伝説なのよ?」 「じゃ、せめてそれっぽく振舞えばいいだろうに……つか、今度はどこに行ってたんだ」 「んとね、灯火山のてっぺん」 「ってファイヤーのとこかよ!?」 「そーそー。あ、そういえば聞いてよ。ファイヤーってばまた美味しいお酒隠してて……」 「……なぁアキラ。仮にもファイヤーのトレーナーとして色々と言いたい事があるんだが」 「わかってる……つか注意もしてるんだが、もう数十年はこういう関係だそうだしなぁ」 「「……はぁ」」 「そんでね……ってちょっと、聞いてる?」 数日後。 指定のメンバーの他にデル、メリィ、ホウを連れ、一行は岬の小屋の前に立っていた。 「ここがマサキの家か……」 「なんか、予想してたのと違うね」 「そうですね。預かりシステムの開発者という程ですから、もっとこう……」 「ほらほらみんな、ひとんちの前でお喋りしてても仕方ないっしょ。ってことでおじゃましまーっす♪」 「僕、スイクンさんは少し自重したほうがいいと思います……」 そんなこんなで上がりこんだ先には、エーフィ族の少年が一人。 「ん?あんたら誰や?」 「ああ、俺はトキワジムのアキラ。マサキって人に呼ばれて来たんだけど」 「おお、あんさんがアキラか!わいは見ての通りエーフィ……ってちゃうちゃう、萌えもんマニアのマサキや!」 「……へ?」 一同、硬直。 それもそうだろう。皆、マサキが萌えもんだなどとは夢にも思っていなかった。 「何やその反応は。あんさんら信用してへんな?」 「信用って言われても……」 「ねぇ……?」 「ホンマやって!実験に失敗してしもうて、萌えもんと一つになってもうたんや!」 必死で訴えてくるエーフィ(マサキ?)。 その様子に、もしかしたら本当にそうなのではないかと思い始めた時だった。 「せやから、わいはこの機械に入るさかい。そこのパソコンで……」 「……ハ~マ~?」 「……ってその声はムドォ!?何でや!?何で今ここに居るん!?」 いつのまにか彼の後ろにはブラッキーの少女が肉薄しており、振り向いたエーフィの顔面をぐわし、と掴むと。 そのまま握り締めて持ち上げていた。 要はアイアンクローである。 「あんた……悪戯も大概にしなさああああああいっ!!!」 「ああいがががががががががくぁwせdrftgyふじこlp!?!?!?!?!?」 エーフィは暫く声にならない悲鳴を上げていたかと思うと、泡を吹いて気絶した。 そしてブラッキーはポカーンとしているアキラに向き直ると、頭を下げた。 「ごめんなさい、うちのが変なこと言ってたみたいで」 「あ、え、いや、別にいいけど。君は?」 「あ、そうだった。申し送れました。わたしはマサキ兄ちゃんの助手の一人で、ムドっていいます。そこのバカはハマ。あんまり認めたくないですが、わたしの双子の弟です」 「そうか……マサキは今は居ないのか?」 「はい、でもすぐに戻ると思いますよ。よろしければ皆さん、奥でお待ちになりませんか?」 「なら、お言葉に甘えようかな」 「わかりました。こちらへどうぞ」 そして奥に通されて数分後。 「やー、君がアキラか。わいがマサキや。よろしく!」 「あ、どうもよろしくお願いします。マサキさん」 「硬いなー、わいもアキラって呼ぶけん、わいのことも呼び捨てでええで」 「そのほうがいいならそうさせてもらうよ、マサキ」 「おおきに。ほな早速、データ取らしてもらうで。その間そこのパソコンで、わいの萌えもんコレクションでも見てき。データしか無いけどな!」 そういって、マサキは三人を連れて別室へと去っていった。 残された四人は、勧められた通りにパソコンで萌えもんのデータを見ることにした。 「……御主人様!見てください、これ!」 「なんだなんだ……ヘルガー族のデータか」 「はい。このデータによりますと、私の種族の平均的な胸の大きさはAらしいですよ!別に私が特別小さいわけじゃないみたいです!」 「……でもデルちゃん、身長の平均は160cmよりも上だよ」 「……っ!」 「……それに、デルのサイズはAA。平均より全然下。しかも、種族的に成長は見込めない」 「Σ( ̄□ ̄;)」 「うわ、ホウちゃんキッパリ言い過ぎ……」 「まぁ、何だ。デル……あんま気を落とすな。俺は嫌いじゃないぞ、小さくても」 「うぅ……御主人様の優しさが地味に痛いです……orz」 「これは……デンリュウ族のデータか」 「え、見せて見せてー!」 「……普通ですね」 「……人間と殆ど変わらないな」 「……面白みが無い」 「えー……普通でいいよぉ」 「そこはほら、話のネタにならないじゃないですか」 「……読者も、読んでて面白くないはず」 「ホウ、あんまメタな話はナシで頼む」 「んで、これはヨルノズク族のだな」 「……おっきいね」 「……(ギリギリ」 「……それほどでもない。普通」 「お前のサイズでデル達に普通って言っても嫌味にしか聞こえんからな。種族内では普通でも」 「くぅ……飛行タイプの種族の方々は何故皆胸が大きめなのでしょう……」 「一説には、羽ばたく時に胸の筋肉を使うから、その近くに栄養分となる脂肪を溜め込むようになっているとか何とか」 「どこの誰がそんなこと決めたんでしょうね……」 「……多分、トーヨー史に詳しくて胸とお尻が大好きでピジョットが嫁の人」 「だからメタな話はよそうか」 ……十数分後。 妙に生き生きとしている三人を連れて、マサキが戻ってきた。 「やー、ホンマにおおきに!……どないしたんやお二人さん、えらい落ちこんどるけど」 「いや、ちょっとな……それよりもそっちこそどうしたんだ?」 アキラが聞くと、ユキメが柔らかく笑いながら答えた。 「実は、データ取りのついでにリフレッシュもしてもらったんですの」 「リフレッシュって、どんな?」 「そうですわね、私の場合は氷雪浴とでも言いましょうか……仮想とはいえ、久しぶりに一面の銀世界に触れられて素敵でしたわ」 「へぇ……ノッサやスイクンも?」 「はい!僕は全身のマッサージと整体みたいのをやってもらいました!」 「あたしも、好きなだけお酒飲めたしさいっこー♪」 「はは、喜んでもらえたなら何よりやわ」 後の部屋から「何やこの額はー!?」「伝説のデータと引き換えなら安いものって言ってたわよ」という声が聞こえてきたが、アキラはとりあえず今は気にしないで後でスイクンを〆ることにした。 「色々と世話になったみたいだな。さんきゅ」 「えーってえーって。ところでアキラ、帰りにハナダ寄る用事ある?」 「ハナダ?まぁ折角だしカスミさんに挨拶くらいはしてこうかと思ってるけど」 その答えを聞くと、マサキは真面目な顔になって言った。 「……せやったら、なるべく寄り道せーへん方がええで」 「……なにかあったのか?」 「あったっちゅーか、現在進行形やな。実はな……」 マサキの話を要約すると、こうだ。 先の萌えもんの暴走事件以来、被害を受けた市民の間で萌えもんに対する不信感が強まってきている。 また、詳細が伏せられていることから、この事件自体が萌えもん協会が起こした不祥事ではないか?と勘繰る者まで出ている。 それを受けて「全ての萌えもんは管理されるべきである」という思想を持つ市民団体と、ハナダジムとの間で何度か衝突があった。 ……それらの話を聞いたアキラは、完全に面食らっていた。 「んな、ばかな……あの事件の顛末は詳細にした方が混乱するからって伏せられてたのに」 「ま、市民の感情も理解できへん訳やないがな。仲のよい隣人やと思うてたら、突然暴走して家を壊され、傷を負わされ……人によっては家族を奪われとる」 「だからって……その状況から救ってくれたのも萌えもんだろうに!」 「せやな。せやけどそうも思わん連中も居るっちゅうことや。気つけとき」 「……ああ、情報ありがとう。またな」 そうして、アキラはマサキの家を後にした。 その後、ハナダジムへ飛ぶこと数分。 降り立とうとすると、なにやらジムの前に人だかりができているのが見えた。 「なんだあれ……まさか、マサキの言ってた市民団体ってアレのことか?」 「……アキラ君、どうする?」 「そうだな……人目につかないように、ジムの裏に降りるぞ。ちょっと様子を見よう」 ハナダジム前。 そこでは市民団体が一人の少女を取り囲んでいた。 もっとも、取り囲まれている少女も怯んではいない。 胸を張って腕を組み、彼らを正面から睨み返している。 ピリピリと張り詰めた空気の中、均衡を崩したのは少女……ハナダシティジムリーダー・カスミのほうであった。 「あんたたちねえ……いい加減な言いがかりはもうやめてもらえないかしら?」 「言いがかりだと!?」 「言いがかりよ!あれはロケット団残党による犯行で、ちゃんと協会が派遣したトレーナーが止めてきたって報告があったでしょ!」 「嘘をつけ!自分たちに都合が悪いからって隠すな!」 「勝手な妄想はやめなさい!それに全萌えもんを管理するですって?バカらしい、彼らの意思はどうするって言うのよ!」 「奴らの意思なんか関係ない!我々の安全のためには、全てを管理する必要があるんだ!」 「そんなことが許されると思って……!」 「うるせぇ黙れ!協会の犬風情が!」 そう吼えた男がカスミに石を投げつける。 反射的に自らをかばうカスミ。 だが、その石は見えない壁によって弾かれた。 「な、何だ!?」 「おいおい……女性一人を取り囲み、挙句石を投げるとか、あんたら人として恥ずかしくないのか」 「誰だてめぇ!出て来い!」 「言われなくとも……っと」 罵声に応えるように、屋根の上からヨルノズクを伴った青年が降りてくる。 アキラとホウである。 二人はカスミと人だかりの間に立ちふさがり……背後から怒鳴られた。 「ちょっとあんた!突然割り込んでなんのつもりよ!部外者はどいてなさい!」 「ちょっ……部外者は酷いな、知り合いが囲まれてたからマズいと思ったのに」 「知り合い……って、ああああああっ!あんた、うちの子たちをヘルガー一人でボコしてバッジ取ってったナメ男!」 「……流石にその物言いは傷つくんだが」 「うっさいわね!相性良い筈の炎タイプの子にジムバッジ戦とはいえ3タテストレート負け食らったあたしのプライドの方が傷だらけよ!」 突然繰り広げられた喧嘩(というには一方的だが)に面食らう市民たち。 が、延々と彼らをスルーして続けられるそれにとうとう先の石を投げた男が食いかかった。 「てめぇ、ナメやがって……!ただのカッコツケならどいてろ、怪我したくなかったらな!」 「だから知り合い……つか一応関係者なんだな、これが」 「は?あんた、とおりすがりのトレーナーやってたんじゃなかったっけ」 「ちょいと思うところがあってな……今はトキワジムでサブリーダーやってる。今日はその挨拶も兼ねて来たんだけどな」 「なによそれ、聞いてないわ!」 「だから今日言いに来たんだって。それに書類には書いてあっただろうに」 「顔は覚えてたけど名前まで覚えてないわよ!」 「さいですか……」 と、再び始まる漫才(?)。 そんな時、人だかりの外側がガヤガヤ言い出したと思うと、すっと道ができて一人の男が通ってきた。 「まあまあ皆さん、そんなに熱くならないでもよろしいでしょう」 「ら、ラーク様!?」 「様付け……?カスミさん、彼は?」 「……奴らの幹部よ。面倒なのが出てきたわね」 そういって嫌そうな顔をするカスミ。 そんな彼女に、男……ラークはうやうやしく挨拶をした。 「これはこれはジムリーダー殿。ご無沙汰しております」 「一昨日ぶりのどこがご無沙汰なんだか。顔も見たくなかったわ」 「おやおや、嫌われていますね。そちらの方は……見ない顔ですね」 「まぁ俺は新参だし、リーダーでもないから当たり前か。トキワのリーダーの補佐をやってる」 「なるほど、あなたがあのトキワの……こちらから挨拶しに行く手間が省けましたよ」 「挨拶ね……あんたは何者なんですか?」 「おお、これは失礼いたしました。わたくし、アッシュ団幹部のラークと申します。以後、お見知りおきを」 「んで、どうしてこうなってるのか説明してもらえないですかね?」 「どうしてもこうしても、彼女が我々の言葉に耳を傾けて頂けないのがいけないのです」 「誰があんな話をマトモに聞くもんですか!萌えもんがかわいそうじゃないの!」 「ですが、次同じようなことが無いとも言い切れません。そんな時、あなたたちは街を護れるのですか?」 「そんなの、当たり前じゃないの!」 「ええそうでしょう。当たり前です。『護れるはずがありません』」 「っ!」 「おい、どういうことだ!」 「今回の暴走のときのこと、ご存じないのですか?リーグがあるからとジムを空け、肝心なときに不在。 挙句戻ってきた後も、ヘタな戦いをして悪戯に被害を増やす。 さて問題です。『今回護れなかったのに、次は護れるという根拠は何でしょう?』」 「うるさい……うるさいうるさい!もっと勉強するし、対策だって考えるわよ!」 「しかし、その対策に意味は無い。なぜなら、事件を起こしたのはあなた方協会……無論、リーグ中に事件があったのも自然に各地を手薄にするため」 「違う!そんなのデタラメよ!」 のらりくらりと語るラークに、過熱していくカスミ。 見ていられず、アキラは間に割り込んでいた。 「カスミさん、一旦落ち着くんだ。確かに奴の言ってることはデタラメだけど、デタラメだという証明ができないんじゃ仕方ない」 「それは……そうだけどっ!」 「いいから。とにかく、こうやって話してても不毛だし……これ以上文句付ける気なら、相手になるぜ?」 そう言ってアキラはボールに手をかけ、ホウは一歩前に踏み出る。 が、ラークは表情を全く変えずに一歩前に出た。 「……おい、何のつもりだ?」 「おやおや、我々の話を聞いていなかったのですか?我々は萌えもんによって被害を被った者。故に、萌えもんを連れてはおりませんよ?」 「だから何だってんだよ?」 「いいえ、何も。ただ……丸腰の相手に萌えもんで攻撃を仕掛けるほど、貴方も愚かではないでしょう?」 「……なるほどね。ここで実力行使に出れば、その時点で『萌えもんが人間に害を為した』証拠が取れるって寸法か」 「人聞きの悪い。私はただ単に戦う意思は無いと言っているに過ぎません」 「戯言はもう十分だ。んで、どうすんだよ」 「……これでは埒が明きませんね。本日のところはこのくらいにしておきましょう。皆さん、解散です。お疲れ様でした」 ラークがそう言って手をたたくと、蜘蛛の子を散らすように市民達は去っていった。 それを確認して、ラークは再びアキラ達にその能面のような微笑を崩さずに「では、御機嫌よう」と挨拶すると、何事も無かったかのように去っていった。 残されたのは、アキラ、ホウ、カスミの三人だけ。 「……アキラ君」 「何だ?」 「疲れた……」 「お前、もうちょっと空気読んで発言してくれ……」 「……戻ってていい?」 「いいよ、お疲れ……カスミさん?」 ホウをボールに戻し、アキラはさっきから黙ったままのカスミに声をかける。 カスミは今にも泣きそうな表情で、ギリギリと歯を食いしばっていた。 「あの、謂れの無いこと言われて悔しいのはわかります。でも……」 「違うのよ……全部、事実よ……」 「え?」 「あたしがトレーナー引き連れてリーグ行ったのも……建物ごと暴走萌えもんを押し流したのも……事実だわ……言い返せなかった……ッ!」 「カスミさん……」 「ゴメン、あんたにつっかかったりして……あと悪いけど、今日は帰ってもらえる?ちょっと、落ち着いて話できる気分じゃないわ」 「……わかりました。でも何かあったら連絡してくださいよ。俺は当然、クリムだって、きっと力になってくれるはずですから」 「……ありがとう。あとなんか堅苦しいから、敬語はやめてくれる?年だって大して違わないでしょ」 「それ、マサキにも言われたな……了解、カスミ。これでいいか?」 「OK。じゃ、ね」 「ああ」 そうして二人は別れ、それぞれの帰るべき場所へと帰るのだった。 「ただいまー……あー、疲れた」 トキワジムに戻るなり、アキラはレストルームのソファに倒れこむ。 奥からクリムとシャワーズが、淹れたてのコーヒーを持って来てアキラに差し出した。 「お疲れ様です。どうぞ」 「ああ、さんきゅ……あー、ったく参るなぁ」 「お疲れ。つかどうした。やたら遅かったが、何かあったのか?」 「何かも何も……エラい奴らに会った」 そう前置きして、アキラはハナダであった事を話した。 その話が進むにつれ、クリムは渋く、シャワーズの方は悲しげな表情になっていく。 「……ってことがあったんだよ」 「アッシュ団……か。ったく、漸くロケット団を潰して落ち着いたと思ったらこれだ」 「それにしても、あの事件でそれほどまで萌えもんに不信感や危機感を感じている人々が居たなんて……」 「まぁ、ハナダシティはあの事件で最も大きな被害を受けてるからわからないじゃないけれど」 「にしても動きが早いな。ロケット団の元傘下か、それとも似たような対抗勢力だったのか……どっちにしろ、放ってはおけないな」 コーヒーを飲み干し、クリムは立ち上がる。 それを追う様に、アキラも立ち上がった。 「けど、挨拶が省けたってことはこっちにも勢力伸ばすつもりだろうし、迂闊には動けないぞ」 「いや、大丈夫だ。こっちにはリーダークラスの人間が二人居る」 「マスター、それってもしかして……」 「ああ。俺かアキラ、どっちかがジムを守り、どっちかが捜査する。これならいけるだろ」 「なるほどな……確かに、俺たち二人で防衛しなきゃならない敵なんてそう居ないか」 「居たとしたら、それこそミュウツークラスだろうし。その時は四天王の応援要請もするさ。折角近いんだしな」 「あはは……」 そんなクリムの物言いに、アキラは苦笑した。 「にしても、相手が萌えもんを連れていないとなると厄介だな。押しかけられてもこっちからは手出しができん」 「最悪、門を閉めて立てこもるしかありませんね」 「それにもう一つ気になることがある。連中、全萌えもんの管理っつってたんだろ?具体的に何するつもりなんだ?」 「言われてみれば……そもそも現状のトレーナーと萌えもんの関係だって、言い方は悪いが萌えもんを管理してるようなものだし」 「全萌えもん、と言っているくらいですから、野生の存在を認めないということでしょうか」 「それとも、今のトレーナーと萌えもんの関係をより人間優位に変えていくつもりか……あるいは、両方かもな」 「……私、怖いです。もし本当に彼らの言うような世界になってしまったら、私とマスターの関係も……」 「大丈夫、変わらねーよ。そもそも、そんな世界にはさせねえ。シャワーズ、俺を信じろ」 「マスター……」 「シャワーズ……」 クリムの言葉に、瞳を潤ませるシャワーズ。 見つめあった後、瞼を閉じたシャワーズにクリムが口付け……ようとした所でアキラは咳払いをした。 「あー、ゴホン。お二人さん、そういうのはせめて二人でいる時にやってくれ。俺一人置いてきぼりじゃねーか」 「へ?あ、う、あ、ごごご、ごめんなさいいぃぃぃっ!!!」 「なんだアキラ、混ざりたいならそう言えば混ぜてやっぞ。当然、制限つきだが」 「マ、マスター!?何言ってるんですかぁっ!?」 「誰が混ざりたいと言った。つかシャワーズが沸騰しかけてるがいいんか」 「無論だ。こうなってるシャワーズも可愛いだろ?」 「か、か、かわ、わ、わはぁぅ……(プシュー」 「あ、のぼせた」 「やれやれ、しゃーねぇ。アキラ、俺はとりあえずシャワーズ寝かせてくるから後片付け宜しくな」 「おめーの事だから寝かせてくるだけじゃ済まないんだろーな……まぁいいや。仲良くしてこい」 クリムがシャワーズを抱き上げて去っていくのを見送りつつ、今夜はどうデル達を可愛がってやろうかと想いを馳せるアキラだった。 ほぼ同じ頃、カントー某所。 嫌らしくない程度に豪華な部屋に、二人の男が居た。 片方はいかにもビジネスマンといった出で立ちの若い男。 もう片方はぼさぼさの頭にくたびれたシャツ、薄汚れた白衣という、如何にも研究員然とした老人だった。 若い方の男は読んでいた書類を机に置くと、老人の方に視線を向けた。 「なるほど、開発のほうは順調のようだね」 「ええ、そうですとも。何せ、理論と根幹の設計だけは既に出来上がっていましたからなぁ」 「素晴らしいね。これが完成すれば……フフフ、世界を変えられるだけの力が手に入る」 「わしゃ力なんぞ興味ありゃしませんが……ひひひ、研究さえ続けさせとくれるんならいくらでも協力しまさぁ」 「勿論さ。じゃあ早速だけど、これの試作品のテストをしたいね」 「でしたら、お月見山なんぞどうでしょ?」 「お月見山かい?」 「ええ、あの山には珍しい萌えもんの集落があるという噂。そこの住人ならば……試した後、高く売れるかと」 「フフフ……なるほど。では早速手配するとしよう」 「人選はどうなされますかぃ?」 「僕が今決めよう。そうだな……バージニア、ケント、フィリップの三人を向かわせろ」 「わかりました、伝えときまさぁ」 「宜しく頼むよ、グレイ博士」 「こちらこそ、シガー社長」 そう言葉を交わし、博士と呼ばれた男は部屋を後にする。 残された社長と呼ばれた男は、ガラス張りの壁……外は高層ビルの森が眼下に広がっている……に歩み寄り、笑いを零す。 「そう、力だ……力があってこそ全てを制するのだ……フフフ……フハハハハハハハハハハ!!!」 月は、もうあとわずかで満月になろうとしていた。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ・後書き どうもこんにちわ、曹長です。 ……気がつけばまた半年近く放置。もっとがんばらにゃ。 さて、今回のお話ですが……えー、ほのぼの日常話、一話で終了のお知らせが入りました(ヲイ どーも私はなにかと若干ハード目な話が好きなようで。 今後の人間と萌えもんの関係はどうなってしまうのか? アッシュ団とは何者なのか? アキラ達はそれにどう立ち向かうのか? それはまた次回以降、乞うご期待! そして毎度のことになりますが、キャラ貸し出し・クロスオーバー等、ストーム7氏に感謝です。 それではまた、次回の後書きでお会いしましょう。
https://w.atwiki.jp/moemonss/pages/542.html
―――リザードン かえんポケモン たかさ1.7m おもさ9(省略されました。全てを読むにはブラストバーンと書き込んでください ちじょう 1400メートル まで ハネを つかって とぶことができる。 こうねつの ほのおを はく。 もう幾度となくにらめっこした図鑑を閉じる。 萌えもん研究の権威であるオーキド博士が作成した物だ。データに狂いはないだろう。 カイリューにも引けをとらない体躯と迫力を備え、羽で飛び、炎を吐く。そんな男の浪漫たっぷりの萌え、いや燃えもん、リザードン。 オレがタケシやカスミといったジムリーダーとの対戦が不利になると分かっていながらもヒトカゲを選んだのは、偏にこのリザードンを 求めたからである。 オーキド博士の研究所でちらっと見かけたリザードンの写真に、オレは一目惚れしたのだ。 この萌えもんを一刻も早く手に入れる。その為に、ヒトカゲと二人きりで旅をしてやる。 その決心は、予想をはるかに上回る苦難を意味していた。 レベル14で覚えたメタルクローもタケシの岩イワークの堅さの前には無力だったし、カスミのスターミーにみずのはどうを喰らった時 はしっぽの炎が消えかけた。互角に戦えると思っていたマチスのライチュウにもまさかのなみのりに撃沈。エリカは流石に楽勝だったが、 ウツボットを下したその瞬間が、リザードのピークだったといえよう。無論、二度のサカキとの対決は共に相打ちが精々だった。 何度挫けそうになっただろうか。そだて屋にあずけてしまおうと思ったのも一度ではない。だがオレは諦めなかった。 考えうる限りの攻撃パターンを研究し、炎タイプなのにあなをほるやソーラービームを覚えさせ、ひたすら旅先のトレーナーに戦いを挑 んだ。メロメロを使ったリザードが 「マスター、何でわたし初対面の雄を誘惑しなきゃいけないんですかぁ? しかも天敵のカメールをぉ」 と訴えた時の涙目は今でも夢に見る。 意外にも愛らしいリザードと瞼に焼きついたリザードンの幻影がなければ、きっと耐えられなかっただろう。 だが、辛い日々は今終わりを迎えた。 オレの目の前に、あの日は平面でしか確認出来なかったリザードンがいる。 はるか上空を飛べるという羽、進化してより一層激しく燃えあがるしっぽの炎、引き締まった紅蓮の肉体。 その美しさに、本来ならこんなぐだぐだと思い出を振り返り独白を繰り返してる余裕もなく見惚れてると言い切れる。 では何故このような事を考えているのか? 理由は至極単純である。 そして、致命的だ。 「マスターダメです、飛べませんよぉ、高いところなんて怖い~っ」 うちのリザードンの性格はおくびょう。ツンデレパッチ当てるとなきむしです。 「ちょっと待ていリザード、ン! お前飛べなきゃ羽なんて飾りだぞ? 飛べないリザードンなんてただのリザードだぞ!?」 「いいですよリザードでー! わたしは進化なんてしたくなかったー!」 「何をぉ? お前ヒトカゲから進化した時は大喜びでヘソクリのちいさなキノコでお祝いしたじゃないか!」 「だってあんまり変わらないもんヒトカゲとリザードなんて。羽ないし」 「ええい何でもいいからそらをとぶを覚えろ! オレが鳥萌えもんを無視しまくったのはお前に飛んでもらおうと考えてたからなんだぞ!」 「そらをとぶなんてほのおタイプにはムリです~!」 それが出来るからこそのリザードンなんだろうがっ。 そう言ってもリザードンはやだやだと恐怖から身を守るために丸まってだだをこねる。 いやね、確かに気にならなかった訳ではないですよ? コイツ以外の萌えもんは気にせずメロメロやってたし、他のトレーナーのリザードに比べて随分ビクビクしてたし。 そういえばポケモンセンターのジョーイさんが「貴方のリザード『もうすぐ36になっちゃう~』って凄く震えてましたよ?」とか言っ てたっけか。あれ、思い返すとビックリする程フラグまみれじゃないか。 「大体マスターはひどいですよ! なんでバタフリーやマンキーが野生でいるのにわたしをイワークと戦わせるんですか。ハナダのジム戦 なんてあろうことかスターミーとガチンコやらせたじゃないですか。スターミーですよ? 水萌えもん中屈指のドSで有名な万能砲台です よ? あいつを打倒出来たらカメックスでもシャワーズでもドンと来いってなもんですよ」 ちなみにSはスピード超ヤバイのSらしい。 「覚えさせてくれる技だってめちゃくちゃなのばっかり。あなをほるなんて、しっぽの炎がいつ酸素不足で消えないか地面の中でひやひや もんですよ。わたしはひのことか、かえんほうしゃとか、だいもんじとか、もっとほのおタイプの王道を突っ走りたかったんです。挙句メ ロメロなんて、わたし種族に見境ない万年発情期女みたいじゃないですか~!」 自分の言葉に興奮してるのか、不満を吐くにつれ涙としっぽの炎が正比例の関係で増えていく。あつっ! 今足にかすったぞ! 火が! 「お、落ち着けリザードン。確かに采配や技に関してはオレが悪かった部分も多い。これからは気をつける」 「いいんですいいんです。どうせわたしは空も飛べないダメードンなんです。気をつけるも何もこれから使ってもらえないんです」 「そんな事あるか。お前はオレがトレーナーになる瞬間から憧れてた萌えもんなんだ。そんなお前を捨てるもんか」 それは本音だ。 どんなに臆病で泣き虫でも、こいつはオレの旅に最初から付き合ってくれた相棒だ。 イメージとはちょっと、いや大分、もしかしたら九分九厘は違ったが、それでも使わないなんて事はありえない。 しかしリザードンは分かってくれない。いやいやと首を振る。 「マスターはずーっとリザードンに憧れてたじゃないですか。カイリューにも伝説の萌えもんにも引けをとらない最強のかえん萌えもん。 わたしなんかじゃそんなマスターの求めてるリザードンにはなれません。空も飛べないって知って、マスター凄い怒ってる。 わたしはもっとちっちゃい体のままで、マスターと平和に旅を続けたかったのにぃ」 「リザードン…お前」 「あ、ごめんなさいごめんなさい! 言い過ぎました泣きすぎました、萌えもんの分際でごめんなさいぃ!」 ちょっと口答えしたと思ったらすぐこれだ。なだめるにもこれではまず言葉が届かない。 仕方ないか。 ひでんマシンを鞄に戻す。えーと、ボール系は確か右ポケットに…… 「え、マスター?」 「リザードン。空なんて飛ばなくていい。最強のかえん萌えもんにもならなくていい」 「そんな、見捨てるみたいな事言わないでくださいよぉ。頑張ります、わたし頑張って」 「てい」 弁解も聞かずにリュックの肥やしになっていた紫のボールを投げる。 どんなに泣いていようがオレの憧れだろうが萌えもんは萌えもん。リザードンはぱかんと開いたボールに問答無用で吸い込まれてしまった。 ボールはいつもの捕獲と同じように、揺れて、止まった。じんわりとこみ上げる後悔。 「これでシルフ救ったのパーか。せっかくフリーザーにでも使おうって思ってたのに」 だが今のリザードンが元のモンスターボールに戻ってくれるとも思えなかったし、貴重って意味では多分差はないだろう。 そう自分に言い聞かせてボールを拾う。今さっきまで大騒ぎしてた萌えもんが入ってるとは思えない程軽く、静かだ。 散々浴びた数多い不満は、日頃から溜めていた鬱憤だったのか、それとも進化して興奮した結果の暴走だったのか。 そして、あの言葉。 ―――マスターと二人で平和に旅を続けたかったのにぃ。 ボールをホルダーにはめて、思いっきり伸びをした。 それで足の火傷とか憧れがぶち壊れた心傷とかがなくなってくれればいい、と考えるぐらい思いっきりに。もちろん、そんな事はありえ ない。 だから、後悔もなくならない。 「そんなの当たり前の事じゃないか。難しいもんだな、全く」 今日の寝床に足を運ぶ。リザードンがこれでは先に進むのは絶対に無理だし。 まずは旅の始めから考えていた『リザードン無双で四天王打破プロジェクト』をまっさらにしよう。 それからやり直そうな、と聞いているはずもない、泣き虫なかえん萌えもんに呼びかけた。 リザードンが進化してから性格が臆病だと気づいたのは実話だったりする。 そして臆病なリザードンを妄想したら大変萌えましたというお話。
https://w.atwiki.jp/moemonss/pages/504.html
「…なんか、急にあったかくなってきたな」 「火山のせいでしょうか。今は活動していない、はずなんですけど…」 ハードプラント習得の次の日。俺達は、『ルビー』を探すためにともしびやまへ向かっていた。 シャワーズの助けを借りて遠浅の海を渡り、濡れた服を乾かしたい衝動を堪えて陸地を進んでいく。 途中で出てきた野生の萌えもんを捕獲、もしくは撃退して進んでいくにつれ、肌に感じる熱気が強まってくるのを感じる。 俺の隣を歩いているシャワーズも、少々暑そうだ。だからって服であおぐな。いろいろ見えそうになってるから。 「って、あれ…何だ?」 「洞窟…でも、上から湯気が出てますね」 火山、湯気…ひょっとして…というか、もうそれしかねーよな。 「やっぱり、温泉だ」 「温泉?」 「まぁ、要するに天然の風呂だな。地下水が地熱で暖められて湧き上がってくるやつだ。 普通の風呂よりも、水の質もいいし鉱物によるさまざまなプラスの効果がある…と聞いた。 ちょうどいい。ここに入っている間に服を乾かそう」 俺はシャワーズを連れて温泉の入口へ向かっていった。 向かわなきゃよかった。 温泉は、広大な洞窟内のあちこちに沸いているようだった。それぞれの湯のまわりには簡単に壁が張られ、 管理人に申請して一室を借りて入る、という形になっているらしい。 ちょうど俺達が入ったのが昼前と言う事もあって空いている。 簡単に一室借りることができた。(ひと組に一室しか借りられないらしい) で。 「いや、予想してしかるべきだったんだけどな」 「何いってんの、マスター?早くはいってきてよ」 「御主人さま、ここのお湯すっごい気持ちいーよ!」 まぁ、風呂の外に仕切りはあっても、中には仕切りがない訳だ。要するに混浴だ。 「いや待て、お前ら先入ってろ、俺はしばらく外で時間つぶしてくるから――」 「それは困るね、マスター。服が濡れている状態で外に出て風邪でもひかれたら、修行どころじゃないじゃないか」 「いや、でもな――」 「…分かった、ではこうしよう。シャワーズ、プテラ、手伝え。無理やりにでもマスターの服を脱がす。風邪をひかれては困るのでな」 「ごめん俺が悪かった一緒に入ってやるからそれは勘弁してくれ」 「遠慮しなくてもいいよ、私が上から下まで徹底的に優しく服を一枚一枚剥いでやろうじゃないか」 「フーディン、キャラが変わってます…」 …と言うわけで。 なんだかセキチクの一件を思い出すが、俺達7人は全員で温泉へと入ることになった。 「ふむ…予想以上に湯が熱いな」 「私としてはそんなに感じないが…そこまで熱いか、フーディン?」 「プテラは、熱いのには強いみたいですね」 「ボクたちはいいとしても、年少組が茹であがっちゃうよ…」 「ぐにゃー…」 「ふにゅー…」 「いかん、水の栓はいずこ!?」 「シャワーズ、君の後ろのそれじゃないかな?」 「えっと、これ?…熱っつぅ!これ、源泉ですよ!?」 「あ、たぶんこっちだ!水入れるよー」 もちろん全員タオルは巻いている。…みんな予想以上にくつろいでんな、オイ。 「…ライチュウ」 「なーに、フーちゃん」 「進化しても体はあまり成長してないんだな」 「うー…あたしはこれから大きくなるんだよ!そのうちハナちゃんみたいになるよね、マスター!?」 「俺に振るな、あと湯船で泳ぐな、例え俺達しかいなくても」 …まぁ、確かにライチュウもキュウコンも、進化しても性格は変化していない。…あと体つきも。 フシギバナほどになるかどうかはわからないが、成長はこれからなのだろう。 ただ、変化した点ももちろんある。 「なぁ、ライチュウ、キュウコン」 「なーに?」 「はい…」 「お前ら、髪…解かないのか、それ?」 そう、外見だ。ライチュウはストレートだった髪を左右に分けてツインテールに、 キュウコンは伸びた髪を纏めて九つの房に分けている。進化前は見れなかったうなじがちょっと色っぽい…かもしれない。 「ますたー」 「…どうした」 「かみの毛ほどきますから、あたま洗ってくれますか?」 「あーっズルイ!マスターあたしも!」 「じゃあ御主人さま、ボクもボクも!」 「マスター、あの、よかったら私も…」 「御主人、で、できれば私も…」 「お前ら落ち着け、そして洗うにしても一人ずつだから。そもそもお前ら揃いも揃ってなぜ俺に頼む」 「そんなこと言わずに、役得として受け取りたまえ。あと私もお願いしよう」 ぼやく俺の隣から、フーディンが何気にトンデモない事を口にしやがった。 …結局、一時間近い時間をこの温泉で過ごすこととなった。やましい事はしてないぞ、マジで。 * * * 気を取り直して、俺達はとうとうともしび山に到着した。 とりあえずそれなりに急な山道を登っていくと、上に進む道と横へ逸れる小さな道がある。 普通に登っていれば確実に見のがす小さな道だが、足もとに注意していたため気づくことができた。 どっちへ向かうか。とりあえず、上にのぼるのは後にしたい所…横道へ行くか。 「で、ひとつ目のパスワードは…『またまた タマタマ』…」 何やら話し声が聞こえてくる。物陰からのぞいてみると、見覚えのある黒服の人間が二人いた。 犯罪組織ロケット団。話すと長くなるので割愛するが、俺はこいつらが死ぬほど大嫌いだ。 ここで何をしているのか。相手は二人…ボールは腰に2つずつ、か。 …俺的には、こいつら相手に遠慮も仮借も手加減も必要ない。徹底的に、殺して解して揃えて並べて晒してくれよう。 足もとに落ちていた小石を拾いあげて、同時にリュックに入れていたスタンスティックを取り出す。 伸縮、放電ともに異常なし。…これ、タマムシのロケット団アジトから頂戴した代物なんだよな。萌えもん調教、鎮圧用の。 「…さて、やるか」 まずは小石を投擲。地面にあたって音をたてた石のほうへ、二人の男の意識が集中するその一瞬。 俺は物影から飛び出して3歩で一人目の目の前に飛び出し、スタンスティックを叩きつけてトリガーを引く! 細かい事はわからないが、象でも一瞬で気絶する電撃を浴びて平然としている人間はいまい。 倒れた一人目は無視、スティックを伸ばして二人目のボールに伸びていた手を思いきり叩いた。 痛みに喚く暇も与えず、顎を蹴り上げてさらにスティックで一撃。もちろん電撃のおまけつきだ。 「…ま、これで2,3時間は起きてこれねーな」 「私はいつも思うのだが、マスターは素手でギャラドスやニドリーノくらい軽く倒せるんじゃないか?」 「別に大したことねーよ、こんなの。義父さんは素手でカイリュー投げ飛ばしてたぜ」 「………それは、君の基準がおかしいんだよ」 * * * ロケット団が入ろうとしていた洞窟へ侵入する。ライチュウに頼んでフラッシュで暗闇を払って、 奥へ奥へと降りて行くと―― 「マスター、なに、これ」 「遺跡…かな」 その壁にはよくわからない文字が刻まれ、石室の中には壁と同じような文字が刻まれているテーブルがある。 部屋の隅には、下に降りる階段があった。 「ライチュウ、降りてみよう」 「うん」 降りてみると、今度は小さな部屋の中央に何かが置かれているのが目に入った。 真紅の輝きを放つ、手のひら大の宝石。これが、噂に聞いていた『ルビー』か。 手を伸ばして、台座から取ってみる。…ひょっとしたらトラップが発動するかも、とは思ったのだが、何もおきない。 「…これ、俺がこっちにこなかったらロケット団に取られてたんだな」 「でも、これでニシキさんよろこぶね!」 「そうだな。とりあえずリュックに入れておくか」 俺達は洞窟を出て(ついでにロケット団は縛り挙げたうえで1の島の警察に通報しておいた)、 元の道にもどって頂上へ登って行った。 * * * 「…頂上だ」 古くて長い階段を登り終えると、そこはともしび山の頂上だった。火口はちょうど俺達の登ってきた反対側の下にあるらしい。 振り返ると、1の島と2の島が見えた。3の島は遠くにかすんでいる。 「で、マスター。登ってどうするのだね」 「…いや、昨日頂上にいったらいいって言われたからとりあえず来てみたんだけど」 「やれやれ、…マスター、下がって。上からくる」 「?」 フーディンに言われるまま数歩後退して、空を見上げる。 晴天に赤く輝く影、その姿は―― (…あれ、萌えもんか?どう見たって火の鳥だよな?) (おそらくは間違いないね。マスター、気をつけて) 空から舞い降りてきた火の鳥は、その名のとおりと言うかなんというか、全身を炎に包まれていた。…しかし、それにしても体が大きい。 「ともしび山へようこそ、人間とその仲間たち。私(わたくし)はファイアー。伝説と呼ばれる炎の守護者たる萌えもんの一つ」 「ファイアー…図鑑にデータがある。…以前に確認されたのは、チャンピオンロードで数回の目撃情報のみ、か」 と、火の鳥――ファイアーが纏っていた炎が吹き飛び、その中からファイアーの本体が現れた。…あれ、なんか3回りくらい縮んだな。 しかし、その体からにじみ出る威厳と迫力は全く変わらない。今にも息がつまりそうだ。 「それで、私に何用です?観光、と言うわけでもなさそうですが?そもそも観光ならここではなく向こうの火口を目指した方が…」 「いや、ある人にここに行くといいって言われたんだけれど…」 …ああ、なるほど。そう言う事か。全く、あの人はいったい何者なのか。 「特に用はないというのですか?」 「いや、待ってくれ。…一つあるんだな、これが」 そう言って、俺は腰から順番にボールを取り出して、手持ち6人全員を展開する。 「勝負だファイアー!俺達の力試しとして、相手になってもらうぜ!」 「…ふふ、この私に向かってくる、その意気やよし」 ファイアーが穏やかな口調で、優雅に微笑む。そして、周囲の雰囲気が一変した。 壮絶な覇気と殺気。空気が一気に重くなり、俺の額に冷や汗が吹き出す。 「いいでしょう、挑戦は受けます。そして私に牙をむけたこと、後悔させてさしあげますわ!」 「…ッ!!来るぞみんな、一度固まれ!ライチュウ、光の壁!フーディンはリフレクター!プテラとシャワーズは攻撃の準備! フシギバナ、キュウコンは援護に回れ!」 「うん、分かった!」「任せたまえ」 「はい!」「承知!」 「了解ーっ!」「わかり、ました…!」 ファイアーは上空へ飛び上がり、エネルギーを集中させている。炎を貯めている所をみると、火炎放射か。 …って、あれが火炎放射か!?見た感じだけでも昨日見た『ブラストバーン』と同威力かそれ以上はあるぞ!? 「く、あんなモンくらったらバリア越しでも持たないぞ!キュウコン、フシギバナ、妨害は間に合わない、あいつの火にタイミングを合わせろ! 少しでも威力を削るんだ!フーディンとライチュウは出来るだけ防御を厚くし――」 「遅いわ、焼かれなさい」 空中から俺たちに向けて、撃ちこまれる火炎放射。ワンテンポ遅れて、こちらからも火炎放射と破壊光線が放たれたが、威力が違い過ぎる!! 瞬く間に飲み込まれ、そして光の壁とリフレクターに激突する。 「んぐ…!」 「くっ、う…なんてすさまじいエネルギー…」 「頑張ってくれ、ライチュウ、フーディン!…くそ、フシギバナ!あいつの攻撃を妨害できるか!? シャワーズは時間差で攻撃をかけろ!」 「うん、やってみる!」「…はい!」 バリアの後方から、フシギバナがはっぱカッターを放つ。ファイアーはこれを避けようともせず―― すべて、『防ぎきった』。 分厚い炎の壁が彼女を取り囲み、攻撃を遮断したのだ。 「ますたー、あれは…」 「ああ、分ってる!炎の渦の応用ってわけか!なら、水の攻撃でどうだ!?」 シャワーズが放った水の波動が、炎の壁を打ち消す。ファイアーは美しい顔を若干ゆがめて、此方をにらみつけてくる。 「時間の無駄です、終わらせましょう。…ゴッドバード」 つぶやくと同時に、ファイヤーの全身が炎に包まれ、降りてきた時と同じように火の鳥の姿へと変化する。 その姿のまま――こっちへ突っ込んでくる! 「まずい、みんな、逃げ――」 間に合わない。もうすぐそこまで来て―― 「うわああああああああああああああぁっ!!」 * * * 「く………」 「へぇ、意外としぶといのが一人、いますわね」 「あと一瞬テレポートが遅れていれば私も戦闘不能だったがね。しかし、手加減してくれるとは思わなかったな」 「むやみに命を奪う趣味は持ち合わせておりませんの。…ですけど、主人を見捨てて一人逃げるとは薄情では無くて?」 「私もそう思うけどね、その主人の命令だ、仕方無い」 『フーディン、お前だけテレポートで離脱しろ!お前さえ無事ならなんとかなる!』 『…了解』 「へえ、随分と手下想いな主ですこと。…もういいわ、さっさと尻尾を巻いてお逃げなさい、負け犬!」 「…屈辱ではあるが、そう言ってくれるならありがたく逃げさせてもらおう」 * * * 目が覚めて、最初に見えたのは天井。続いて、ベッド横に座っているフーディンの顔。 「ぐ……フー…ディン?」 「…マスター?目が覚めたのか」 「ここは?」 「一の島、センター内の我々の部屋だ」 「そう、か…」 意識がまだはっきりしないが、俺の体はちゃんとベッドに横たわっているらしい。 頭を触ってみると、額に包帯が巻かれている。体のところどころにも包帯や湿布が張られているのがわかった。 「…みんな、は?」 「私を含め全員治療施設で回復済みだ。私以外の皆は、もう少しかかるそうだけれど…命に別条はない」 「…よか、った、…」 「よくない」 フーディンが強い口調で俺の言葉を阻む。 「よくないよ、マスター。…無事だったから、いいってものじゃない」 「フー…ディン?」 「私が、わたしがもっと早くに反応していたら、マスターに言われる前に動いていたら、全員無事で逃げられたんだ。 特に、マスターは人間なんだ…倒れても、センターの治療施設じゃ治せないかもしれない…」 ぼろぼろ、と。俺を見下ろすフーディンの顔から、熱い滴りが零れおちてくるのが分かった。 俺はヤマブキからこいつと一緒に旅をしてきた訳だが、フーディンが泣いた所なんて、見たことがない。 「ほんとに、マスターが、死んじゃっ、たら、どうし、よう、って…わたしの、わたしの、せ、せいで… 相手に、情けまで、かけられて…マスターが、悪く、言われ、ちゃって…」 「違うよ…フーディン。お前のせいじゃない。今回の敗けは、全部、トレーナーの、俺の責任だ。 相手の実力も測れずに無理な戦いを挑んだ、俺のせいだ。お前は何も悪くない」 腕を伸ばして、フーディンの頬から涙を払う。 「お前のせいじゃない。…思いきり泣いたっていい。その分早めに泣きやんで、また俺を助けてくれ」 「マス、ター…ひぐ、ぐすっ…う、うえぇっ…」 ベッドに横たわる俺の胸に顔を押しつけて泣くフーディンの頭を、母親のように俺は撫でてやった。 * * * 泣き疲れて眠ったフーディンを俺の代わりにベッドに寝かせ、みんなの様子でも見に行こうかと考える。 ああ、そういえば…ともしび山で入手したルビーをニシキさんに渡さなきゃいけないんだったか。 通信制御施設に入ると、ニシキさんが駆け寄ってきた。 とりあえずルビーを手渡すと、彼は信じられないような眼でこちらを見てきた。 「あの…ひょっとして、これを探してその怪我を?」 「いえ、これはその後ちょっと手ごわい奴とやりあって…フーディンのお陰で、命からがら逃げてきたって感じなんですけどね」 「あ、あの子ですか…必死の形相であなたを引きずってセンターに入ってきたものですから、みんなびっくりして」 …後でフーディンにちゃんとお礼言い直しておこうか。 「でも、これでまた通信システムの強化、進みますかね」 「もちろんです!…まぁ、細かい調整なんかは一つ一つやっていくしかないんですけどね。 いつまでも先輩のやり方を頼ってはいられないし、オレなりのやり方で頑張りますよ!」 一つ一つ…俺なりのやり方…か。…そうか… 「クリムさん、本当にあり――「ニシキさん、ありがとうございました。何か、ちょっと目が覚めました!」――え?」 俺は、仲間たちを迎えに走り出した。そう、俺は大事なことを忘れていたんだ。 ジョーイさんのところで聞いてみると、今ちょうどみんな治療が終わり、部屋へ走って行ったらしい。 …まずい予感がするな。急いで俺も追いかけよう。 * * * 「どおしよう、マスターがいなくなってるよー!」 「ひょっとして、けがしてる所を攫われたり――」 「ますたぁ…どこですか…」 「落ち着いてみんな、皆で探せばすぐ見つかるから…」 「シャワーズ、お前が落ち着くんだ!ソファーの下にマスターがいるはずないだろう!」 「…お前ら、怪我治ったばっかりで走り回ってんじゃねーよ」 「マスター!?」 「御主人!どこに行っておられたのだ!」 「そうですよ!一番安静にしてるべきなのはマスターじゃないですか!」 「いや、もうだいぶマシになった。お前らを迎えに行こうと思ったらスレ…じゃなくて、すれ違いになったみたいだな」 …こいつらにも、言わなきゃな。俺の覚悟と、決意を。 「みんな、聞いてくれ。今回の負けは、全部俺のミスだ。…本当にゴメン」 「マスター…」 「けど、今度は負けない。みんな、俺にもう一度チャンスをくれ。今度はあいつのペースに乗せられる必要はない。 おれ達のやり方で、あいつに、ファイヤーに目にもの見せてやるんだ」 「良く言った!それでこそボク達の御主人さまだよ!」 「私、もっともっと頑張ります…勝ちましょう、マスター!」 「もう、まけない、です」 「負けっぱなしと言うのは症にあわんな。御主人、今度こそ勝とうぞ」 「さっすがマスター!あたしもそう言おうと思ってたんだよ!」 「お、お前ら…」 「楽しそうだね、君たちは。私を放っておいてそれは無いよ」 「フーディン!?お前、もういいのか?」 「おかげさまで、だいぶ気が晴れたよ。ありがとう、マスター。 …それで、勝算はあるのかい?」 「ああ。…細かい作戦は明日話す。まずはとにかく…晩ごはんにしないか」 「…そういえば、もう7時を回ってるんですね…急いで作ります!」 「ボクもいってくるよ!」 「おなか…すきました」 「…まぁ、健康で何よりだな」 * * * で、次の日。朝食を食べ終えて一息ついた面々に、俺が作戦の説明を始める。 「まず、昨日の戦いで分かったことを纏めてみよう。おおよそだが、3つある。 一つ・ファイヤーはゴッドバード、火炎放射の技を使う前にチャージ時間がある。 二つ・炎の壁はシャワーズの水の波動で消すことが可能。他の物でも消せるかもな。 三つ・俺達の防御力では、火炎放射でさえ防ぐのがやっとだ。つまり、回避する方向で考えよう」 「そして、ヤツに対する俺達の有利な点はこうだ。 まず、こちらは6人、相手はひとりと言う事だ。散開すれば、火炎放射で一網打尽、なんてことはない。 もう一つ。一度俺たちに勝ったから、ヤツは俺たちを甘く見ている。そこにつけこむことができれば、勝ち目は充分ある」 「これから、各自に作戦を言い渡す。現場で指示を出すこともあるだろうけど、そうでないときはこれに従って自分で動け。 今回の戦いのカギは…フシギバナ、お前だ。わかってるだろ?」 「うん。アレを使うんだね!」 * * * ともしび山、頂上。昼下がりの山頂で、俺達とファイヤーは再び対峙した。 「あら、人間。またやられに来たのですか?」 「あいにく負けたままじゃ気が済まないんでな。リベンジマッチと行かせてもらうぜ」 「…ふふ、いいでしょう。今度も手加減してさしあげます」 「そいつはどうも!行くぜ、皆!」 俺がみんなに出した指示はこうだ。 まず、フシギバナは『フーディンの後ろでタイミングを待て、必要なら援護しろ』 そしてフーディンには、『とにかくフシギバナを守れ、そして仲間の支援を行え』 残りの4人にはこう言った『とにかくファイヤーを一度地面にたたき落とせ』 まず、先鋒はライチュウ。素早く前に走り出て、攻撃に入ろうとしたファイヤーに10万ボルトを放つ。 さらにキュウコンが続き、火炎放射で牽制をしかけた。 ファイヤーはこれを驚きもせずに炎の壁で散らす。しかし、すかさず放たれたシャワーズの水の波動がバリアを打ち消した。 「どうしました、これでは昨日とおなじですわよ!」 「それはどうかな!?」 高らかに叫びながら、さらに高空へと上昇、炎を放射する構えを取るファイヤー。 しかし、背後に回ったプテラが真上から破壊光線を放つ! 「甘い!」 一瞬で軌道を見きって、空中で回避しやがった!反動で動けないプテラを放っておいて、再度火炎放射の構えを取るファイヤー。 だが、その油断が命取りだ! 「イーナーズーマー…」 「なっ!?」 「キィーック!!」 プテラの背に隠れていたライチュウが、そこから飛び出し――ファイヤーに、渾身の雷撃と蹴りを打ち込んだ!! 油断していたところに背中から蹴りを受けて、一直線に地面に落ちるファイヤー。 (いいぞ…そのまま下まで…!!) しかし、敵もさるもの。空中で翼を広げ、地上数メートルで留まって、再び上昇しようとする。 だが、天空より駆け降りてくるプテラとライチュウがそれをさせない! 「大人しく落ちちゃえっ!」 「これで終わりだ!」 落下の勢いを利用した、メガトンパンチとすてみタックルが直撃。今度こそ完全に、地面に叩きつけられた! 「こ、この…調子に乗って…!」 立ち上がろうとするファイヤーだが、真上からすさまじい念力に押されて、膝をつくのが精いっぱいらしい。 フーディンが俺の目の前で、全身全霊の力でファイヤーを押さえつけているのだ。 「それはこっちのセリフだよ。一度勝った程度で調子に乗らないでほしいものだな…! 今だ、やれ!!」 「はいっ!」 「おいうち、です!」 「行くよ!」 「任せろ!」 4方向から襲い来る、徹底的な破壊の嵐。爆炎と土埃が舞い上がって、視界を隠す。 「フシギバナ、やれ!フーディンは念力で奴の位置を掴んでフシギバナを誘導!」 「了解!…見えた!右21度、まっすぐ撃ちこめ!」 「行くよ…だああああああああああああああああああぁぁっ!!」 フシギバナの絶叫とともに、彼女の『力』が地下から持ち上がり、煙の中にいるファイヤーに殺到していく。 視界の晴れたファイアーが見たものは、自分の視界をさらに埋め尽くす無数の根だった。 「あ、きゃあああああっ!?」 「やった!御主人さま!」 「おう!」 狙いを定め、ハイパーボールを倒れたファイヤーに投げつける。…意外なほどあっさりと抵抗が止み、ボールが火山の岩肌に転がる。 「…御主人さま、やったの?」 「ああ。…ファイヤー、ゲットだぜ!」 「意外とあっさり捕まってしまったね。…もっと苦戦するかとも思ったんだけど」 「…そうだな。とりあえず、センターに戻るか!」 * * * で、センターの自室に戻って、治療のすんだファイヤーをボールから出してみる。 たとえ伝説級の萌えもんとはいっても、ボールに入ってしまえば俺に危害を与える事はできない…と思う。 「…で、とりあえず捕まえちゃった訳なんだが…」 「敗北した以上、殺されても文句は言えませんものね。このファイヤー、謹んで貴方の供となりますわ。どうぞよろしく、御主人様」 「あー、それなんだけど…まぁいいや。どうせもう今日は遅いだろうから」 「マスター、ファイヤーさん、晩御飯用意できましたよ。歓迎も兼ねて、御馳走にしてみたんですけど…」 「あら、恐れ入ります。それとシャワーズ、同じマスターに仕えるのだから、別に敬称はいりませんよ? それではマスター、先に食堂へ行っていますね」 「あ、ああ…」 なんか、さっきまでとだいぶキャラが違うな。…何というか、実力を認めてもらったのだろうか。 「それではマスター、私はこれで失礼いたします。おやすみなさいませ」 「ああ、お休み。…早いな」 「その気になれば、1日中でも起きていられるのですけれど…少し、疲れたみたいでして…」 「そうか…まぁ、ゆっくり休みなよ」 「おやすみなさい、ファイヤーおねえちゃん」 「おやすみなさい、キュウコン。それでは」 「…なんだかなぁ」 「拍子ぬけ、と言った感じだね。もっと抵抗してくるかと思ったんだけれど…」 「ますたー」 「ん、どした、ロコン?」 「ねむい、です…わたしも、ねます」 「マスター、あたしも寝るね…おやすみー」 「あの、私も…」 「そっか…まぁ、今日はがんばったからな。お休み」 なんか、やけにみんな寝付くのが早いな。…あれ、俺もちょっと眠くなって… 「マスター?」 「悪いフーディン、俺もちょっと疲れてるみたいだ…」 「当然だ、君は一応はけが人なんだぞ。無理をせず休みたまえ」 「あ、ああ…消灯、頼むな」 「わかっているよ。お休み、マスター」 寝間着に着替えて、俺もベッドに入る。…不自然なくらい、あっさりと眠りに落ちた。 「フシギバナ、もういいぞ。ボールは確保した」 「うん。でも何で、ファイヤーにいたずらするの?」 「昨日の借りを返してやろうかと思ってね。楽しいし見てて面白いと思うから手伝ってくれ」 「わかったー。じゃあ、どこに行くの?」 「隣の治療室へ行こう。あそこなら音も漏れまい」 * * * 「御主人様、起きてくださいませ…」 「う、ん…」 やけに深い眠りだった気がする。いつもなら自分で目を覚ますところを、起こしてもらう事になるとは… って、あれ? 「ファイヤー?」 「な、何でしょう?」 「いや…いいや。起こしてくれてありがとうな」 ファイヤーに先導されて、朝食の場へ向かう。 「ますたー、おはようございます」 「お早うございます、マスター」 「おはよー!マスター!」 「御主人、お早う。寝坊とは珍しいな」 「あ、ああ…」 …俺の隣にいるファイヤーの顔が紅い。なんかやけに紅い。その視線をたどってみると… 「あ、御主人さま!」 「やぁマスターお早う。今日は寝坊かい?」 …まさか、まさかな。 「なぁ、ファイヤー」 「…な、なんでしょう、御主人様?」 「お前さ、昨日…フーディンやフシギバナと何かあったのか?」 ステーンガタガタブルブルドンガラガッシャーン!! (な、何だ今のギャグ漫画みたいな謎の擬音!?何の音だ!?) 「なななななな何をおっしゃっているのかしら御主人様!?私は昨日御主人様より早く床に就いたのですわよ!? 御主人様やキュウコンにもきちんと挨拶したはずですわよ!?」 「あー、悪かった。俺の気のせいだ。忘れてくれ」 …聞かない方が、よさそうだ。 「ところでマスター、ファイヤーはどうするんだい?このままマサラの方へ行ってもらうか、 それとも手持ちメンバーに加えるのか…」 フーディンがいきなり核心をついてきやがった。 …しかたないな。話を始めるか。 「…捕まえておいて何だが、逃がそうと思っている」 「「「「「「え!?」」」」」」 「今後、俺達はチャンピオンリーグに挑戦するわけだ。もちろん、沢山のトレーナーや観客がいる。 もしそんなところに伝説の萌えもんを連れていってみろ、ファイヤーは確実に研究機関に奪われて、何をされるか分かったもんじゃない。 マサラに連れていっても結果は一緒だ。それに、守護者のいないともしび山も危険が高まる可能性が高い。 このあたりの事を考えて、ファイヤーにはともしび山に残ってもらうのが最善だと思うんだが…」 「…確かに、その通りですわね。分かりました。私はここへ残りますわ。 その代わりと言うのもなんですが、もしよろしければ御主人様の故郷、マサラまでは私に送らせて下さいませんか?」 「そうだな…頼むよ、ファイヤー」 「お任せ下さいませ」 * * * 1の島の海岸に、俺とファイヤーが立っていた。ニシキさんへの挨拶も済ませ、部屋も引き払ってきた。 「じゃあ、ファイヤー、頼む」 「分かりました。では、とりあえず私におぶさってくださいませ」 ファイヤーの背中に乗ると、彼女の炎の熱がじんわりと伝わってきて暖かい。 「それでは、飛びますわよ!」 言った瞬間、俺達はもうすでに空にいた。かなりの速度で、地面や海が流れて行く。 「飛行形態をとります。熱くはないですから、安心して捕まってくださいね」 「え?」 轟っ!! 「うぉうっ!?」 突如としてファイヤーの全身が燃え上がり、初めて見たときと同じ火の鳥の姿になる。 この大きさだと、背中に乗っても全然安定感がある。 「それでは御主人様、しばし空の旅をお楽しみくださいませ♪」 火の鳥に乗って、俺達は一路マサラへと向かう。 * * * マサラタウンに降り立つと、ファイヤーは即座に変身を解除して人型に戻った。 「それでは御主人様、なごり惜しいですが、ここでお別れですわね…」 「ああ。…まぁ、何だ。寂しかったらいつでもウチに遊びに来てくれ。伝説が来た程度で驚く家族じゃあないからな」 「うふふ、ありがとうございます。…でしたら、これをお持ち下さいませ」 ファイヤーは丁寧に俺の手を握って、何かを手渡してくれた。 「羽根…か?」 「はい、私の羽根ですわ。もしも私の力が必要になった時、その羽を高く掲げて私を呼んで下されば、 世界のどこであろうと分かります。すぐに駆けつけますわ」 「…そっか、ありがとうな、ファイヤー!」 「ええ。…それではごきげんよう、御主人様」 最後に深々と礼をして、彼女は火の鳥に変身し、自らの故郷へ帰って行った。 しかし、考えてみれば5日間でここまでとんでもない事に巻き込まれるとは思っていなかった。 まぁ、修業としては悪くない旅だったかもしれない。少なくとも、得たものは決して小さくはないだろう。 俺は小さくなっていく伝説の火の鳥を見送りながら、そんなことを考えていた。 おしまい。 あとがき 今回は…まぁ、比較的まともだったはずです。 ファイヤー相手のバトルメインでしたが、いかがでしょうか。 実は僕は、バトル描写はかなり好きなんですよね。 心理描写とかよりこっちの方が楽でいいんです。 …まぁ、うまく書けるかは別問題なのですが。 それでは、また次回にお会いしましょう。 最後まで読んで下さり、本当にありがとうございました。
https://w.atwiki.jp/moemonss/pages/924.html
「ここがシオンタウンか…」 『しずかなまちですね』 「で、あの大きな塔が萌えもんタワーかぁ…」 『『~~♪』』 俺の名前はリン、しがない萌えもんトレーナーだ。 姉さんのホウオウ、無口なユレイドル、アンノーン達(×1000)と旅をしている。 そんなこんなでシオンタウンまでやって来た訳だが… 「違います!!」 何か騒ぎが起こってるようだ… 「しかしね、実際に見た人が居る訳だし…」 「見間違いです!確かにおじいちゃんのお墓はタワーにありますけど、化けて出るような人じゃないです! そんなに言うなら調べてみればいいじゃないですか」 「それは山々なんだが…調べようにもなぁ…」 「どうしたんです?」 ただ見ていただけだったが、気になって話しかけてみた。 「あなたは?」 「ただの通りすがりの萌えもんトレーナですが…言い争っているように見えたので」 「あ…そう見えましたか…これは失礼を」 「それで…何を話していたんです?」 「外の方にお話するような話でもないんですが…まぁいいでしょう …最近、萌えもんタワーで幽霊騒ぎが起こっているんです」 「萌えもんタワーで? それって日常の事だって聞いたことがありますけど…」 萌えもんタワーには大量のゴースト萌えもん達が住んでおり、彼らのイタズラなどで日常的に幽霊が出るそうだが… 「まぁそうなんですが…今回は少し違いまして…」 「と、言うと?」 「今回目撃されたのが…フジ博士の幽霊なのです」 詳しい話はこうだ。 数日前、タワー最上階付近にてシオン住民が幽霊を見かけたそうだ。 そしてその幽霊の姿は、数年前亡くなり、遺言によりタワーの最上階に葬られたフジ老人―萌えもん研究家のフジ博士―に瓜二つだったらしい。 それを聞いた他の住民が調査をしようとした所、気がついたらタワーの入り口で倒れていたり、寒気がして引き返さざるを得なくなったりしたらしい。 その事を彼女―フジ博士の孫―にその事を知らせたところ、彼女が怒ってしまい、さっきの光景に繋がる。 「本当にフジ博士なのかを確認しようにも誰も辿り着けていなくて… しかも、日を追うごとに進める階層が低くなってきているんです」 「そうなんですか…」 「おじいちゃんは化けて出るとは思えないんです…でもそれを確認することもできなくて…」 「・・・・・」 「ねぇ、どうするの?」 姉さんが聞いてくるが…答えはきまっている。 「でしたら、俺が調べて来ましょうか?」 困っている人を放って置いてのうのうとしているような育て方を俺はされていないのだ。 そんな訳で萌えもんタワーに入ってみたわけだが… 「これは…」 「何か…ビリビリ来るね 人払い…かな?」 『あんまりいいきぶんはしないです・・・』 「~~~…」 これは入れないわけだ…タワー内部に人払いがかけられている。 普通の人は科学全般を信じきってるためにこう言う迷信的なものには弱くなってる…入れないのも当然か。 だが俺は腐っても神社の子、これ位なら… 落ち着いて、集中しながら、ゆっくりと… 「一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 布瑠部 由良由良止 布瑠部…」 体が軽くなるのを感じる、どうやら成功したみたいだ。 今の?まぁ軽いおまじないみたいなもんだ。 「さてと…行くか」 「えぇ…人払いまでして何をしているのか確かめに行かなきゃね」 『いやなきぶんもとれたし、いけますっ』 「~~~♪」 そのままの勢いのまま一気にタワーを駆け上がる。 途中で気がついたことだが、どうやらタワーの人払いは萌えもんにも影響しているらしい。 さっきからここに住んでいるはずのゴースト萌えもんたちを全く見かけていない。 本当に何をしているんだ… ―萌えもんタワー最上階― 今までの場所とは違い、少し狭い場所だ。 それ以外の道をさえぎるように墓石が並び、道のようになっている。 そしてその道の向こうには― 「誰ですか…? ここには入らないよう結界を張ったはずなんですが」 一人の女性がいた。 長く伸びる銀色の髪と赤い瞳 纏う服は濃い紫色のローブと三角帽子… 一般的な姿よりもかなり大人びているような気もするが…あれは萌えもん―ムウマージだ。 「人払いだけならよかったんだけどな…幽霊騒ぎはどうかと思うが」 「幽霊…? そうですか…」 「? 貴女じゃないの?」 「えぇ…私がしたのは人払いのみ。 幽霊騒ぎなど起こした覚えはありません」 「え…じゃあ…」 「恐らく目撃された幽霊というのは、正真正銘のフジ氏の霊でしょうね…私の邪魔をするために」 「何?」 そこで彼女の表情に気づく。 光を失ったかのような瞳―あれは何かに絶望した顔だ。 「萌えもん研究者として高名だったフジ氏が、何故こんな場所で眠っているか知っていますか?」 「…一応聞いたよ」 それはタワーに登る前。 「おじいちゃんは萌えもんの遺伝子研究においての先駆者でした。 しかしもう一つの顔もあった」 「顔…?」 フジ博士の孫に話を聞いたときの事。 「非合法組織の援助の下、ポケモンや人間を強制的に萌えもんにする研究をしていたんです」 「何だと!?」 それは衝撃的な言葉だった。 「萌えもんがかつてポケモンであったことは有名な学説です。 だが、『なぜ』は兎も角『どうやって』進化したかについては謎でした」 「そうね…でもそれは今でも謎のはず…」 「はい…ですが、おじいちゃんは非合法研究の末、萌えもん化に成功したんです」 「そんな事が…?」 「えぇ…その事はおじいちゃんの死後、遺品の整理の途中で出てきたコレで分かりました」 そう言って彼女が取り出したのは古ぼけたノート 「これはおじいちゃんの手記です。 これの記録によれば、ポケモンや人間を実験体として、一部完全とも言える成功体も完成したそうです…」 「完全…それは…」 「まぁ、大抵は知能だけだったり、見た目だけだったり…そんな萌えもんばかりだったそうですが」 逆にそれでは始末が悪い…無理やり実験体にされたポケモンや人間の事を考えると気分が悪くなる。 「では何でそんな研究者がこのシオンに…そして萌えもんタワーに葬られたんですか?」 「研究所はその後、とある萌えもんの暴走により崩壊し…そのとき初めて自分がした事の重さに気づいたそうです そして、死した萌えもんを弔うこの町に移住し、トレーナーに捨てられた萌えもんなどを引き取り 育てながら、毎日タワーの慰霊をしていました」 「懺悔…だったんでしょうね」 「えぇ…」 「それなら話が早いですね…彼が何をしたのか知っているのなら」 「…その口ぶりからすると…」 「えぇ、私はその実験体。 ベーズは人間、形はムウマージの『成功体』です」 普通よりも大人びた姿の答えがそこにあった。 「研究所崩壊後、私たちは混乱に乗じて逃げました。 そんな私たちの抱いた思いは一つでした―私たちをこんな姿にした人間に復讐を― まぁ、私はそんなことどうでも良かったんですが…仲間達の為に協力しました」 当然だろう…彼らは被害者だ。 だが、そんな萌えもんが居たことも、何か事件の話も聞かない。 「…復讐の準備を整え、始めようとしたときに仲間達は『崩壊』しました―比喩ではなく事実として 強引な実験で生み出された『失敗体』は寿命まで著しく短かったんです… 復讐を果たすことなく、仲間は次々病に倒れ―残ったのは私を含めた僅かな『成功体』のみとなりました…」 「そんな…」 「フジ氏はそんな私たちの事を知っていたようでした。 彼は知り合いを介して私たちの邪魔を何度もしてきましたし…」 「…フジ氏は自分の研究が広がることを恐れていました」 「あぁ…それも知っている。フジ博士の孫が持っていた手記に書かれていたらしい」 「彼は晩年、研究記録の最重要部分を除いたものを自らが信頼する人間に託しました」 「それなら…」 「しかし…その記録も盗難や遺産整理のゴタゴタでいくつかが闇に流れてしまっています。 そして…それと最重要部分が無くとも時間さえあれば…」 「強引な人造萌えもんが作れる…と?」 「えぇ…そうです。 そしてその最重要記録―それは、この墓石の中に隠してあるんです」 「な!?」 「まぁ、途方も無い時間がかかりますがね 最重要部分があればすぐでしょうが…普通は気づきにくい場所ですし、フジ氏の墓となれば人目にも付く。考えたものです」 「じゃあ、何でアンタはこんな事を?」 「…数週間前です。 私は手に入れた情報を元にとある研究施設を襲撃しました…」 何の話だろう…と思ったが…話の流れからするとまさか― 「えぇ、お察しのとおり、フジ氏の研究成果が一部漏れていたんです。 絶望しました…また私たちのような存在が生み出されるのかと… 見た目にも力でもヒトを超越してしまった体 かと言って萌えもんかといえばそうでもない…私たちは半端者なんです。どちらの場所でも生きられない」 「…」 「そんな私たちにとって、この世は地獄でした …いや、終わることの無い煉獄―罪の炎に焼かれ、復讐の炎を燃やし―そして半ばで命の炎を枯らし深淵へと落ちていく…」 彼女の言葉には深い悲しみがこもっている。 「そんな果て無き煉獄を上るのも…もう疲れてしまいました… せめて私たちのような存在が二度と生まれない事を願いますが…いつかは再び扉は開かれるでしょう… この場所の封も完全ではない…いつかは見つかってしまう…だから」 彼女は無線機を取り出し― 「作戦を開始してください」 そう言った。 「外に居る私の仲間に連絡しました。 数分後には仲間の砲撃でこの場所は瓦礫に埋もれるでしょう…」 「…アンタはどうする気だ?」 「…フジ氏の残したものを消し去ります 記録も、『私も』含めて全て」 そんなことだろうと思った…コイツはこの場所と一緒に最初から心中する気だったんだ。 人払いをして住民に被害が及ばないようにしてまで… 「煉獄の頂上には登りきることは出来ませんでしたが…せめてこの塔の上から天へと旅立ちたいと思います。 …急いでこの場から逃げてください…まだ多少の余裕はあります」 そう言って、ムウマージはさらに奥へと消えた。 「…姉さん」 「あの子を助けるのね」 「あぁ」 「ふふ…それでこそ私の弟よ!」 「まぁな、それに」 俺と姉さんは目を合わせつつ― 「「目の前の困ってる人を放ってのうのうとしていられる様な育てられ方(育て方)はしてないさ(わ)」」 声を合わせた。 「うんうん…私たちは先に降りているけど…気をつけてね」 「・・・・・」 「どうしたユレイドル?」 『・・・なにをいってもいくことぐらいは、もうわかっています・・・でも、ぶじにかえってきてください』 「あぁ、当たり前さ」 「何ですか、早く逃げないと危ないですよ」 ムウマージは最奥、フジ博士の墓石の前に居た。 「嫌だね。崩れるかもしれない階層にいるヤツを避難させないと」 「…何を考えているんです?」 「お前を連れて、逃げる」 「結構です、お帰りください」 「お前が降りるならな」 「…私はこの場で終わりにすると決めたんです…邪魔をしないでください」 ムウマージの目が鋭くなった― 「もし邪魔をするなら…って目だな」 「えぇ…」 一歩足を進める…彼女の掌が上がった。 「何故邪魔をするんです…フジ氏といい人間は…」 「なぁ」 「…何ですか」 「アンタ、人間の復讐なんてどうでもいいって言ってたけど、嘘だろ」 「何を言って…」 「アンタには見えていないからさ…人の想いってやつが」 彼女の言葉…そしてフジ博士の孫の話、それで彼が願った事がわかった。 「フジ博士はお前らに復讐をやめて欲しかったのさ、だから全力で邪魔をした」 「…身勝手ですね、生み出したのは向こうだと言うのに…」 「だから、さ。 折角自由の身になったんだ、自由に生きて欲しかった…親心だったのかもな」 「……何を今更」 「それにな…博士の孫から聞いた話なんだが…」 「おじいちゃんは…此処に着てからは寿命の研究をしていました」 「寿命の?」 「萌えもんは人間よりも遥かに長い寿命があります 萌えもんの遺伝子を調べて、寿命を延ばす研究をしていたのではないかと…」 「…その成果は?」 「目処は立っていたみたいです。でも完成前に…」 「そうですか…」 「な…何…を?」 「フジ博士は寿命の研究をしていた、おそらくお前の仲間を救うつもりだったんだろう」 「そんな…事…信じられるわけ」 ―突然の轟音― 「何だ!?」 「…始まった…みたいですね」 更に轟音― そして強烈な振動が始まる。 その揺れにより倒れ始める墓石…そして、フジ博士の墓石も…ん? 「墓石の下に…?」 「…え?」 ―もし、この文章を読んでいるのが私の以前の研究目当てであるなら… 諦めたまえ、私の手元に残していた記録は処分した。 そして、もし…もしもこれを読んでいるのが私の生み出したものであるのならば… この墓石の中に、萌えもん達の寿命を延ばすための研究データが入っている、持って行ってくれて構わない。 出来れば完全な物を渡したかったのだが…私の寿命のほうが足らなかったようだ。 このデータを役立てて欲しい…そして、出来るなら復讐などと言うことは考えず、キミ達が望むことをして欲しい。 無理やりに産み出しておいておこがましいかもしれない…だが、私は切にそれを願う 願わくば…私が産み出した子供たちに幸あらんことを フジ― 「な…」 「墓石の下か…隠し場所としてはいいかも知れなかったが、誰にも気づかれなかったみたいだな」 「わたし…たちは…?」 「随分と愛されてたみたいだな…」 ムウマージの中の何かが崩れるのが見えたような気がした。 ふらふらと足元がおぼつかなくなっている―っておい、この状況でこれは… その瞬間、ムウマージの近くの壁が吹っ飛び―その衝撃で彼女が外に投げ出された! 「っ!?」 「くそっ!!」 一気に駆け寄り、彼女をキャッチ…したはいいが俺も壁際だった。 「くっ…待ってろ、すぐに引き揚げてやる」 「…もういいです…離して下さい …これも罰です…このまま私も深淵で罪を償い…」 「っ馬鹿野郎!! 死んで罪が償えるとでも思ってんのか!? 償いたいと思ってんなら何が何でも生きやがれこの阿呆が!!」 …とは言うが…かなりキツい… ―しかし、無常にも― ―弱くなった足場が崩れて― ―二人そろって外へ…― 「「「~~~~~~!!!!!」」」 その瞬間、何かが纏わり付いて空中でキャッチされる。 そして、何かに絡め取られた。 「よっし、成功! もうちょっとだけ頑張って、すぐにこっちに戻るから~」 「「「~~~~!」」」 「・・・・・っ」 「頑張って!もうちょっと!」 見れば、被害が余り及んでいない少し下の階層で叫んでいるのは―姉さんだ。 どうやらこの事態を想定して、準備をしていたらしい。 よく見れば今浮いているのは、アンノーン達が必死に支えているから、巻きついているのはユレイドルの触手だ。 まぁ、何というか。 「めちゃめちゃだけど…助かったのかな?」 そう話しかけたが、ムウマージは返事をしない。 よく見ると― 「気絶してら…」 だけど…その表情には、さっきまでの暗いものは見えなかった。 この事件の結末は― タワー最上階は完全に崩壊。修復にはしばらくかかるそうだ。 幽霊についてはしばらくして住民が調べたところ、まったく見かけなかったということで、見間違いという結論が下された。 ムウマージの仲間は見つからなかった。 ムウマージ曰く「始めから逃げるよう指示した。行き先はわからない」だそうだ。 そして、そのムウマージは― 「さて、次の街はドコに行こうか?」 「そうねぇ…今度は西かな?」 『にしなら、ヤマブキシティでしょうか?』 「そうねぇ…迷うなぁ…」 「で、何で私が同行することに?」 俺たちの一行についていく事となった。 「文句言うなって…苦労して保護観察まで持っていったんだからな」 「それで貴方と一緒ですか…」 「まぁ言うな。それに俺としても… 壮大な自殺未遂やらかした女を放っておけなくてな」 その一言に、ムウマージの顔が赤くなり、慌てて帽子を下げて隠す。 「ま…まぁ、私の身柄を引き受けてくれたんですから、感謝しないといけませんかね… ともあれ…」 「よろしくお願いしますね、リン」 あとがき??? 長いよ…そして独自設定走りすぎだよ… ムウマージ、好きなんです(ぇ ウチのは一般的な『魔女っ娘』というよりは『魔女』ってイメージになってますが… さぁ次は…ユカルートかな?
https://w.atwiki.jp/retrogamewiki/pages/6853.html
今日 - 合計 - もんすたあ★レース おかわりの攻略ページ 目次 基本情報 [部分編集] ストーリー [部分編集] 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 基本情報 [部分編集] ストーリー [部分編集] 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 名前 コメント 選択肢 投票 役に立った (0) 2012年10月09日 (火) 16時26分48秒 [部分編集] ページごとのメニューの編集はこちらの部分編集から行ってください [部分編集] 編集に関して
https://w.atwiki.jp/moemonss/pages/1124.html
俺がべとべたぁに教えたのは二つ。 かぼちゃをかぶったままにしておくこと。 トリックオアトリート、という呪文を唱えること。 出来れば由来とかそういうところも教えたかったんだけど、知らないし。 何よりべとべたぁが興味ないこと教えて萎えさせても可哀そうだ。 「とり、くお、あとりーと」 町全体がハロウィンムードのようなので、フリーズな事件は起きないと思うけど、一応俺も同伴。 ふりぃざぁの凹み状態も長くは続かず、それどころかなぜか嬉しそうな表情になって、宿に戻っていった。 「違う。トリック、オア、トリート」 ともあれ、まずはどの家に行こうかと思っているのだけれど……。 人の家にお邪魔する、というのが民族的に苦手である。 誰かが入って行ったところに入ればいいかな……。(民族的 「とりっ、くおっ、あとりーとっ」 で、さっきからべとべたぁの間違いをただそうとするも、直る気配がない。 どころか一層悪化してる気もする。 「……まぁいいか」 どうせ呪文だって教えたんだし、今回はそれっぽいこと言ってくれれば。 それに、まぁ……したったらずm(ry。 「とりっ! くおっ! あとりーとっ!」 一人悶えていても仕方ないので、べとべたぁの背を押して、一軒目に突撃させるのだった。 「ほら行けっ」 呼び鈴を鳴らして、べとべたぁを玄関前まで押し込んだ。 ……俺は行かない方がいいよな。 門柱の陰に隠れてことを見守ることにする。 がちゃり。 戸の中から現れたのはいかにもと言うような老夫婦だった。 その目がべとべたぁを捉えると、おぉと嬉しそうに一声。 「とり、くお、あとりーと!」 両手をがば、と大きく上げて、べとべたぁのアレは威嚇か何かのつもりだろうか。 老夫婦はいそいそと小さな紙袋を取り出して、 「「ハッピーハロウィーン!!」」 言葉の通り幸せに満ちた笑みで、お菓子を手渡した。 べとべたぁは黙ってそれを受け取り、数秒、 「あ、ありがとうですっ」 わーい、とらしく喜んでぱたぱたと駆け戻ってきた。 ……やっぱりコイツは喜んでる時の顔が一番いいな。 「ごしゅじんさま! おかしです! おかしもらったです!」 ずい、とお菓子の詰まった袋を突き出してきた。 ぱっと見た感じだが……なかなか沢山入っているような気がする。 ……俺も……いやいや。 こういうのはなんというか、小学生までだよね。 「ごしゅじんさまもほしいですか?」 「欲しくないと言えば嘘になる」 「じゃあいっしょにつぎのおうちへいくですよ!」 言うなりべとべたぁはぴょいと勢いよく俺の首に飛びついてきた。 「やめ――」 普段ならべたべたくっつくのはやめる様にいっているのだけれど……。 「無礼講……かな」 町の雰囲気か、それとも別の何かか。 要因は分からないけれど、今べとべたぁが飛びついてくることはとても自然なことに思えた。 なら咎める必要もないだろう。 「さて! 次の家はあそこだ!」 「りょうかいです!」 ……おかしい。 呼び鈴を鳴らし、応対があり、呪文も聞こえた、応えも聞こえた、玄関の戸が閉まる音も。 ここまで終わっているのにべとべたぁが戻ってこないと言うのはどういうことなのか。 ケータイでふりぃざぁと連絡とってて見ていなかったとは……。 「!」 まさか……誘拐……。 いやいや、あのべとべたぁがさらわれるわけが……。 ……。 と、とりあえずもう一度呼び鈴を。 ぴんぽーん。 玄関前に待機。 どきどきする。 ハロウィン参加の子供と間違えられないだろうか。 ……間違えられたらそれはそれでお菓子貰うか。若く見られるのも悪くない。 がちゃり。 現れたのははくりゅーが二人。性別は女。要するに姉妹。しかも美人だ。 ごくり。 ……いや、ほらはくりゅーと言えば世のトレーナー(男)がパートナーにしたい萌えもんランキング上位組だし。 それに姉妹と来たら……元気っこの妹と苦労性姉。或いは世話好き妹とダメ姉。とか他にもレパートリー豊富。 つまり一組でなんどもおいし……はっ。 「あの……?」 突っ立ってるから不審がられてるまずいまずい。 なんかヒソヒソ囁かれてるし。 意を決した。今日だけの特別な呪文。 「トリッ――」 「恥ずかしがらずに、ね。上がっておいで」 だがそれはどこか魅惑的な台詞に遮られた。 一言でへろへろになった俺は両手を引っ張られるがままに寝室。 を、すぎて居間へと連れて行かれて。 「はっぴーはろうぃん!」 「あ、ごひゅじんしゃま」 何かのパーティーと勘違いしている様子のはくりゅー姉妹の声を背に受け、聞きなれた声に目を向けると。 テーブルに並べられた数々のご馳走に手を付けるべとべたぁがそこにいた。 「家の中に入ってくのはあまり感心しないぞ。注意し忘れた俺も俺だけど」 「ごしゅじんさまだっておうちのなかにはいってたです!」 「それは、だなぁ。お前が事件に巻き込まれてないかどうかがだな……」 「……しってるです! ごしゅじんさまはハナノシタというのがのびてたです!」 「うげぇっ!」 「ハナノシタがのびてたおとこのひとはしんじないでくださいーってふりぃざぁさんがいってたです!」 なんてこと 教えてやがる ふりぃざあ。 晩飯は覚えていろよ……。からしやわさび万歳な刺激的料理つくっちゃる。 愉快に三軒目へ向かう途中。 「……」 それはいた。 べとべたぁより小柄な萌えもん。 電柱の影でこちらの様子をじっと見つめている。 「べとべたぁ」 「はいです」 背丈の差が大きい俺が行くよりべとべたぁのほうが親しみやすいだろう。 「どうしたですか?」 「……あの」 口を開く。 震える声は細く弱い。 ……こわがっているのだろうか。 べとべたぁと俺は静かに答えを待つ。 「……その……わたし……も……」 ……私……も? 俺は続く言葉に耳を傾けていた。 が、 「わかったです。いっしょににはろうぃんやるですよ!」 ……ありゃ。 べとべたぁのほうがあの子の言いたいことがよくわかるらしい。 「う、うん!」 べとべたぁの言葉に、隠れていた萌えもんはぴょこっとその姿を現した。 ……見たことのない萌えもんだ。 頭の天辺に草を生やしたような髪、甲羅のようなものを背負った姿。 ゼニガメのような、でも草タイプ……。 「おなまえはなんていうですか?」 「わたしは……なえとる」 「なえとるーですか!」 図鑑を取り出したところでまたもべとべたぁに先を越される。 ……モウイイヨ。 「ではなえとるーにとうへいに、はろうぃんのごくいをでんじゅするです」 「は、はい」 「でしはししょうのうでをみてぬすむときくです」 「?」 「わたしがまずやってみるですから、そのとおりになえとるーにとうへいもやるですよ!」 「わ、わかり……ました……」 もう放置です放置です。 俺が構うよりはべとべたぁが世話した方が早くて人間的だもの。 べとべたぁは呼び鈴を鳴らし、玄関で待機。応対されたら呪文を唱え、お菓子を貰って戻ってきた。 戦果をナエトルの前に掲げて見せて、 「このとーりです」 「わぁ……」 べとべたぁの勇姿(?)に目を輝かせるナエトル。 「ほんとはかぼちゃがないとだめですけど、こんかいはわたしがかしてあげるですよ」 「あ、ありがとう……」 「あとは『とり、くお、あとりーと』っていえばいいです。けんとうをいのるです」 「が、がんばる……」 ぶかぶかのかぼちゃをかぶって覚束ない足取りで家に向かうナエトルを見ていると、かなりハラハラする。 転ぶことなく呼び鈴の前に到着し、しかし、 「んーっ……んーっ……」 届かない。 背ならべとべたぁも足りてないが、ぴょいぴょい飛んで押すことができた。 どう見てもかぼちゃを支えるだけで精一杯なナエトルには無理な話。 「……」 俺の足元で同じく行く末を見守っていたべとべたぁが動いた。 ナエトルのもとまで歩み寄り、 「わたしのうえにのるですよ」 「でも……それなら……」 「なえとるーがやらなきゃだめです。わたしができるのはおてつだいまでです」 こくり。 ナエトルは頷いた。 べとべたぁの足に乗り、肩に乗り、腕をぐっと伸ばして……、 ぴんぽーん 「や、やりましたっ」 「まだ次があるですよ」 「は、はいっ」 玄関前まで到達するナエトル。 あの気の弱そうな子に、対人は務まるのかっ。 がちゃ、と戸が開き、俺と同い年くらいの男と、ちっこいイーブイが現れる。 「あ……う……。と、と……」 背の高いのが最大の難関か。 男はぽりぽりと頭を掻いて、 「イーブイ……」 「なんでしょうお父様」 「……」 「……」 「俺怯えられてるから任せたっ!」 「はい任されま……せん!」 「頼むよマジで。可愛い可愛いいーぶいさん」 「……お父様がそこまで言うのなら」 「ありがとっ」 ……。 危機は去った。 後は挫かれた勢いをもう一度取り戻すだけだ。 「と……」 「……」 イーブイは後ろ手になにかを隠し、笑顔で言葉を待った。 門前ではべとべたぁが。もう少し遠いところに俺が。 ナエトルの動向を見守っている。 「とり……。とり……く……」 ぎゅっと両手を握り締めた。 「とりくおあとりーと!」 「ハッピーハロウィンですよ」 ナエトルは言い切った。 イーブイに渡された包みを胸に抱きしめて、高速でこちらに戻ってくる。 「で、できました……」 「よくがんばったですよ! なえとるーはすごいです!」 「あり……がと……」 「どうせです、いっしょにほかのおうちもまわるですか?」 「いえ、私は……ひとつで十分です……」 かぼちゃがべとべたぁの元に返される。 「またあおうですよ、なえとるーいっとうへい!」 「はいっ」 最初電柱に隠れていた時には思いもしなかったような綺麗な笑顔を見せて、ナエトルは去っていった。 「へへ……。おえかきのお兄ちゃん、よろこんでくれるよね……」 「やったです! いっぱいになったです!」 「ちょいと集めすぎや御座いませんか、べとべたぁ嬢」 「ごしゅじんさまのぶんとふりぃざぁさんのぶんもあるからこのくらいですよ!」 町中連れまわされて集ったのはお菓子の山。 勿論用意しておいたナップサックはパンパンで、残りは全部俺の腕指首。 べとべたぁに持たせるわけにもいかず、しかし、ようやく宿に戻ってきた。 「あとは……ここのひとたちにもらうです!」 あぁそうね。 宿に泊まってる人たちも参加してるんだよね。 主人に準備はしておけと言われて、俺もハロウィンのことを知ったしね。 「べとべたぁ」 「なんですか?」 「俺はこいつを運ぶから、残りは一人で回れるか?」 「もちろんです! わたしももうおとなです! れでぃーです!」 「……」 「どこをみてるですか」 「さ、いいから行った行った」 「なにかくやしいけどおかしのためですー!」 やっぱりこどもだよな。 勢いよく駆けていく背中を見て、再確認した。
https://w.atwiki.jp/moemonss/pages/461.html
注:色々つっこみどころがありますが、暖かい目で読んでください 元ネタはギャグマン○日和です。 人物紹介 レッド カモネギ キュウコン サイドン セキエイ高原を目指して長い旅をしてきたレッド達一行、その旅もついに終わりの時を迎えたのです 「これがセキエイ高原かぁ・・・凄い地味なところね、マスター」 「そうだなぁ・・・・・~♪~~♪」 「あれ?どうしたんですか、ご主人?」 「よっしゃーーーー!!一番乗りもらったぁぁぁ!!!」 「「しまったぁぁぁ!!!!!」」 「油断したなお前ら!イェーイ!イェーイ!!」 「カモネギ!ながねぎよ!!」 「やぁーい!お前の母ちゃんオッパッピー!!イェーイ!イェーイ!」 「よし!伸びろ、ながねぎぃぃぃぃ!!」 「ケツがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」 ーーーーーーーーーーーーーーーしばらくお待ち下さいーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「何をするんだ、まったく・・・いいかキュウコン、それにカモネギ。 無闇に人を傷付けるのは愚かな行為だとあれほd「いや、マスターが抜け駆けするから」 とにかく、こんな事で争っていてはいけn「いや、ご主人が抜け駆けするから」 俺達が仲間割れしていては戦線離脱したサイドンが悲しm「いや、だからマスターが・・・」 彼女が最後に言っていた言葉を思い出せ・・・」 「ちょ、なんで・・・マジで・・・ボックス行きってどういうこと?え・・・や、やめてよ・・・」 「じゃ、みんなで一斉にゴールしましょ」 「無論そのつもりだったぞ。んじゃ、3,2,1で一歩出るんだぞ」 「・・・あれ?キュウコン、あなた・・・って、クツながぁぁっ!?」 「あら、わたしのクツは長いのよ」 「え?キュウコンのクツが長い?あっ!?本当だ!!キュウコンのクツながぁっ!! これじゃ一斉にゴールしても、キュウコンの足がまず入ってしまう!!ってか、お前クツなんて履いてたのかよ!? ダメダメ!認めねぇぞ、そんなクツは!!三人一斉にゴールしなきゃ意味がないんだ!」 「ご主人が一番最初にゴールしようとしたくせに・・・」 「ここまで来てチームワークを乱していては戦線離脱したサイドンが悲しむぞ・・・ 思い出せ、彼女がボックスに行く前日に言っていた言葉を・・・・・・・・・」 「なにヒソヒソ話してんのよ・・・やめてよ!不安になるでしょ!!」 「じゃ、足からじゃなくて手から入ることにしましょ」 「それならいいだろう」 「「やっぱダメェェェェェェェェェ!!」」 「キュウコンのツメ長っっ!?お前いつからそんな爪を伸ばす能力があったんだ!?初めて見たぞ!! ダメだ!そんなの認めないぞ、この卑怯者!! そこまでして仲間を出し抜こうなんて、戦線離脱したサイドンが見たら悲しむぞ・・・ 思い出せ、彼女がボックスに行く三日前に言っていた言葉を・・・・・・・・・」 「だからぁ!萌えないとか、進化しない方がいいとか!そういうジョークはやめてよ!!・・・・・・え、ジョークじゃない?」 「こうなったら頭からゴールするしかないな」 「なるほど、それなら平等ね」 「では・・・」 カシャーン!ウィーーーン!ガシャガシャ!カシーーン!! 「「変形したぁぁぁーーーー!!!」」 「なんですかソレ!?ずるいですよマスター!!卑怯者ぉぉぉ!!」 「黙れ!これがオレの完全体だ!」 「完全体って!!??」 「悔しかったらお前たちもこういうの買えばいいだろ」 「どこに売ってるんですかそんなモノ!!」 「とにかく、そんな帽子は反則よ!認められないわ!」 「バカモノ!仲間というのは認め合うことから始まるんだぞ! 志半ばでボックスに行ってしまったサイドンが最初に言っていた言葉を思い出せ!」 「サイホーンといいます!特技は、ビルの破壊です!な~んちゃって、ドーン」 「しかし、マスター。そもそも三人揃ってゴールするのは無理がありますよ」 「む、確かに・・・・・・」 「じゃ、いっそのこと競争しましょ。後くされなく」 「んじゃ、この辺からよーいどんでスタートするか」 「恨みっこなしよ」 「勿論だ。だが、もしオレが一番になれなかったら・・・・・・一番になったヤツを憎しみで○ス!」 「恨みっこアリじゃない!・・・で、誰がよーいどんと言うの?」 「勿論オレだ!」 「あなたなの・・・信用ならないわね、卑怯なことしそう」 「失敬な!大丈夫だ!!」 「んじゃ、位置についてぇ~~~~~・・・・・・うおりゃっ!!」 「「あっ!?うおりゃっでスタートしやがったぁ!!!!」」 「ちょっと待ちなさい!何よ、うおりゃって!! よーいどんとうおりゃって一文字も合ってないじゃない!!」 「うるせぇぇ!この萌えもんどもがぁ!!一番乗りはオレなんだよ、キャキャキャキャ!」 「カモネギ!ながねぎよっ!!」 「よぉし!伸びろぉぉながねぎぃぃぃ!!あーーーっダメだ!ちょっと届かない!! ちっくしょーーー!尖れぇながねぎぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」 「ケツがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」 ーーーーーーーーーーーー只今、映像が乱れております。しばらくお待ち下さいーーーーーーーーーーーーーーー 「まったくお前らは・・・いい加減にしろ、人の痛みを考えろ! とりあえず、カモネギはながねぎを少し離れたところに置くんだ んじゃ、仕切り直しだ」 「位置についてぇ~~~~~~・・・・・・よどん!!」 「「よどん!?!?」」 「まてぇ!なんなの、よどんってぇ!!」 「省略したんじゃボケ!キャキャキャキャキャキャキャ!!」 「ちくしょぉ!ながねぎあったら絶対刺すのにぃぃぃぃ!!」 「こらぁーーー!!待ちなさあぁぁぁぁぁぁい!!!!」 「うおっ?!足速ぇ!!この萌えもんども!!」 「わたしが一番よぉ!!」 シャキーン!(←ツメを伸ばした音) 「ぬおっ!!卑怯だぞこの狐野郎!!」 「負けるかぁでりゃぁぁぁぁぁぁ!!」 ジャキーン!(←ツメが伸びた音) 「げげぇっ!!お前もできるのかよ!?」 「なんか駄目元でやったらなんかできたぁ!!」 「ちくしょぉーーーーー!!一番はオレだぁぁ!!!」」 ゴゴゴゴゴゴゴ(←ツメを伸ばそうとしている音) 「マスターは人間だからできちゃ駄目でしょ!!!」 「「「それぇぇぇぇ!ゴールだぁぁぁぁぁぁ!!でりゃーーーーーーー!!!」」」 それは幻だったのか何だったのか 誰よりもチャンピオンリーグを楽しみにしていたソレは 青空の中へと溶けていった・・・・・・ 「セキエイ高原についたら? チャンピオンリーグの建物がどれだけの強度か確かめてみたいなぁ、体当たりしてさ。な~んちゃってね、ドーン」
https://w.atwiki.jp/moemonss/pages/110.html
マスター「暇だ。」 フーディン「早朝からまた随分突然ですね。」 そうなのだ。突然暇だとつぶやきたくなるぐらい最近は本当に暇である。 ポケモンリーグで金を巻き上げ、働く必要も無くなったスーパーネオニートである俺は かわいいかわいい娘達をはべらしてうはうは幸せ大爆発なわけだが、 いかんせん本当にすることがない。たまにフリーザー様に乗ってぶらぶら旅に出てみるぐらいだ。 いいかげん萌えもんバトルにも彼女達は飽き飽きしていることだろう。 実は以前素敵な娘を求めて交流会なるものに行ってみたんだがなかなかおもしろかった。 ただそれ以来ほんとになんにもない。 マスター「おまいらもやることなくて暇をもてあましてるだろうに」 ギャラドス「マスターは性欲をもてあましてるんじゃないの?」 マスター「HAHAHAHAHA... よおおおおおおおおく分かってるじゃないか!」 嬉しいこといってくれるじゃないの みwなwぎwっwてwきwたw ギャラドス「俺は嫌だぞ?」 マスター「そ・・・そんな?!私の気持ちを踏みにじってひどいわ!!くやしいっ!ビクビクッ」 ギャラドス「きめぇw」」 フシギバナ「(あれ?何か卑猥な視線をかんじる・・・)」 こんなときはやさしいやさしいあの娘にオネガイだ! マスター「フ~シ~ギ~バ~ナ~」 フシギバナ「えっ!?あううう・・・」 マスター「このままじゃ下半身がメガホーンだ!」 フシギバナ「ま・・・またですか・・・」 マスター「今夜は眠れないwwwwアヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャwwww」 ギャラドス「(ノ∀`)」 フーディン「お気の毒ですがこれもマスターの暴走を最小限に抑えるためです。」 ライチュウ「がんばれフシギバナ」 フシギバナ「うう・・・」 フリーザー「・・・(ふぁいと)」 マスター「さぁ今夜の予定は決まったわけだ。今どうするかが問題だ」 フシギバナ「シクシク」 キュウコン「一家団欒王道のテレビはどうかしら?」 めずらしくまともな意見である。 ライチュウ「でも最近お昼のテレビもおんなじようなバラエティーばっかりだもんね・・・」 キュウコン「じゃぁちょっとマスター白骨化してくださいな。」 マスター「なんでそうなるww」 キュウコン「なにかビッグな事件でも起きれば別かもしれないでしょう?」 相変わらず綺麗な御姿で無茶をおっしゃる。 てかまともな意見を言ったと思ったらこれだww ほんとに思考が読めん。今お前が言うなって声が聞こえたが気のせいか マスター「まぁ、俺の白骨化は置いといて ビッグな事件って言ってもロケット団は解散しちゃったし。 ハナダの洞窟にいたミュウツーたんもおまいらのおかげで手厚く保護できたし 事件の「け」のじすら見えないときたもんだ」 フシギバナ「でも、やっぱり平和を享受するのが一番幸せなことだと思いますよ?」 マスター「まぁそりゃそうだがな」 とはいえ何か面白いことが無いか体がうずいてしょうがないんだが。 何かいい提案はないだろうか・・・ ①天才的頭脳を持つ俺はすばらしいアイデアをひらめく(性的な意味で) ②フーディンが何かアイデアを思いついてくれる ③そんなものない。現実は非情である フーディン「ときにマスター」 マスター「お、②か?」 フーディン「何を言ってるのかよく分かりませんが・・・ 1の島は覚えていますか?」 マスター「ああ、温泉があったところだろ?それがど うはwwwwwwwおkwwwwwwww」 ギャラドス「こういうことの飲み込みは早いな・・・」 つまりあれだ。 温泉・裸体・混浴・フラグ・王道・すみずみまで体洗い・滋養強壮・2名様ボンレスハムプレゼントくぁwせdrftgyふじこlp;@ ] これは素晴らしい。流石スパコン級頭脳。すばらしい、じつにすばらしい提案だ!! とりあえず、今夜の予定もあるわけでとんぼ帰りになるが今日は充実した一日になりそうだ ギャラドス「おいおいおいおい!マスターがまたお花畑になってしまったぞ・・・」 フーディン「見られるぐらいなら別に構わないかと」 ギャラドス「ちょまww」 フリーザー「・・・Σ」 ライチュウ「ときどきさらっとすごいこというよね・・・」 マスター「ふほほほほほほほほほほほほほほほ」 続く ライチュウ「続かなくていいよ・・・」